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日本の再エネ電源別にみる現状と課題――各業界団体の政府に対する要望は?:自然エネルギー(5/5 ページ)
調達価格等算定委員会において、毎年恒例の再エネ電源種別の業界団体ヒアリングが実施された。そこで明らかになった各電源における現状と課題と、それを踏まえた各業界団体からの要望の内容をまとめた。
バイオマス液体燃料発電の現状−環境・エネルギー事業支援協会ヒアリング
環境・エネルギー事業支援協会からは、パームオイル等のバイオマス液体燃料発電事業の現状が報告された。
現在、バイオマス液体燃料発電所は4社・7発電所が存在するが、パームオイル価格の高騰や円安、海上輸送費高騰のため、全ての発電所が実質的に稼働停止状態にある。
このため発電事業者3社は、FIT外の発電事業として、廃食油(UCO)を共同調達することを検討中である。
また環境・エネルギー事業支援協会は、パームオイル以外のFIT新規燃料として、カシューナッツ殻油等を早期に承認するよう要望している。
メタン発酵バイオガス発電の現状−日本有機資源協会ヒアリング
ほとんどのメタン発酵バイオガス発電は廃棄物処理に付随して行われ、食品残渣や家畜排せつ物等がその燃料として使用されている。
2022年3月の導入量は228件・82MWである。日本有機資源協会からも、資機材の高騰が報告されている。
各再エネ発電業界団体からのヒアリング概要は以上である。
JPEAから要望されたFIT地域活用要件の「みなし」扱いの拡大や、JWPAから要望されたエスカレーション条項の導入等は、原則すべての再エネ電源に関わる内容であると考えられる。
現時点の再エネ導入ペースは、エネルギー基本計画が目指しているものからまだ距離があるため、地域との共生や市場統合の同時達成を前提として、再エネの最大限の活用が進められることを期待する。
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