再エネ普及の課題「地域社会との共生」、政府が導入する新ルールの方向性とは?:法制度・規制(4/5 ページ)
国内で再生可能エネルギー電源の普及拡大が進むなか、課題の一つとして顕在化してきた「地域社会との共生」。資源エネルギー庁は新たなワーキンググループを設置し、地域社会との共生に向けた事業規律の在り方についての検討を開始した。
地域とのコミュニケーション「要件」化
現行のFIT事業計画策定ガイドラインにおいては、事業計画作成の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図ることや、地域住民に十分配慮して事業を実施すること、地域住民とのコミュニケーション方法につき自治体と相談した上で、説明会を開催するなど事業について地域住民の理解を得ること求めているが、これらはすべて事業者の「努力義務」に留まっている。
地域社会との共生において、コミュニケーションは最も重要であることから、今後は説明会開催を含む周辺地域への事前周知を、再エネ特措法FIT/FIPの認定申請要件(義務)として定めることとする。
なお、地域住民への事前周知の手法は多種多様であるが、地域住民や周辺環境へ影響を及ぼす可能性が高い事業については、厳格な手続(一定の要件を満たす説明会の開催)を求め、影響可能性が低い事業については、柔軟な手続を認めることとする。
具体的には、
- 50kW以上の高圧・特別高圧の電源
- 複数の小規模電源が至近距離内に集合し、一体的には50kW以上となる電源
- 土砂災害警戒区域など、災害の影響が及ぶおそれが特に高いエリア
- 住民の生活環境に近いエリア
- 条例による自然環境・景観等を考慮した保護エリア
などにおいては、説明会開催が「義務(認定要件)」とされる。
他方で、
- 屋根設置太陽光
- 温対法促進区域など他制度の対象エリア
などにおいては、説明会開催は「努力義務」とされる。また説明会開催に代わる現時点の柔軟な手続としては、
- 事業計画内容等一定の項目を掲載した標識の事前設置
- 事業計画内容をHPやビラに掲載し、事前公表する手法
などが例示されている。なお、10kW未満の住宅用太陽光に関しては、事前周知に関する要件は求められない。
「説明会開催」と言っても、事業者により解釈が異なるおそれがあるため、ガイドライン等により一定の要件を定めるものとする。
もし説明会開催について虚偽申請があり、説明会で求める要件を満たさないことが認定後に発覚した場合は、指導等を経てそれでも改善しない場合は、当該認定は取り消しされる。
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