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都市ガス脱炭素化のカギ「合成メタン」、国内外の事業化とコスト試算の最新動向:エネルギー管理(3/5 ページ)
都市ガスなどのガスエネルギーの脱炭素化策として期待されている「合成メタン」。その普及を目指すメタネーション推進官民協議会の検討会で、合成メタンの事業化に関する国内外の動向と、コスト試算に関する情報が公開された。
国内事例――CO2循環モデルの試算
アイシン・デンソー・東邦ガスの3社は共同で、国内中部圏における2030年時点の合成メタンの製造コストを試算している。
合成メタンの原料となる炭素(CO2)は、都市ガス需要家の排出から回収し、製造された合成メタンを当該需要家(群)が繰り返し使用するという、循環型の事業を想定している。なお、水素は海外からの輸入水素を利用するという前提条件である。
この事業の場合、都市ガス使用によるCO2排出者と合成メタンの利用者が(全体として)同一であるため、CO2のトレーサビリティが高く、環境価値の帰属が明確であることが利点とされる。
コスト試算の前提条件として、合成メタンの製造規模は年間約4,000万m3を想定しており、これは東邦ガスの都市ガス販売量の約1%に相当する規模である。
ここで水素の価格を2030年政府目標値であるCIF 30円/m3とした場合、合成メタンの価格は212円/CH4-Nm3と試算された。これはLNGのCIF価格50円/m3と比較すると4倍強の価格水準となる。
図4より、合成メタンの製造コスト内訳としては水素関連費用がその大半を占めるため、水素コストの低減が重要となる。
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