温室効果ガス排出量の算定ルールが見直しに、改正温対法を受けた新案を公表:法制度・規制(4/4 ページ)
温対法に基づき、温室効果ガス(GHG)を一定量以上排出する事業者に対して、自らの排出量の算定と国への報告を義務付ける「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)」。2006年の制度開始からその算定方法はほとんど変更されてこなかったが、このほど各種算定方法の基準やルールについて、大きな見直しが実施される予定だ。
GHGプロトコルと整合した算定への換算
現在、グローバルに活動する企業の多くが、CDPやRE100、TCFD、SBTi等のイニシアティブに参加しており、国際的なデファクトスタンダードである「GHGプロトコル」に準拠したGHG排出量の算定・報告が求められている。しかしながら、GHGプロトコルはSHK制度とは一定の相違点があるため、事業者の負担となっている。
このため検討会では、SHK制度の報告のために収集したデータや算定排出量データを活用して、GHGプロトコルと整合したScope1・2排出量の算定を行う方法について、検討が行われた。
事務局では、SHK制度とGHGプロトコル(Scope1・2)の間には、多くの共通点と3種類の相違点があると整理している。
これらの相違点については、SHKデータに対して何らかの「変換」や「補足」、「控除」を行うことで、GHGプロトコルと整合した算定に換算することができると考えられる。
例えば単純な例としては、地理的範囲の違いにおいて、国内に限定したSHK制度に国外での排出量を補足することにより、GHGプロトコルに整合させる。
このため、国はこれらの換算方法を整理したガイドラインを作成・公表する予定である。また環境省・経済産業省は、Web上のクラウドシステムである「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)」を提供しており、今後はGHGプロトコルへの換算機能をEEGSに設ける予定としてる。
制度改正に向けた今後のスケジュール
国は今年度取りまとめた内容について、速やかに省令等を改正し、事業者への周知活動を行っていく予定である。
なお今年度予定していた議題のうち、森林吸収やCCS・CCU等の炭素除去については実質的に議論が出来なかったため、あらためて来年度の議題とされた。
CCSやメタネーションは多大な先行投資が必要となるため、その環境価値の扱いの明確化が急がれる。
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