バイオマス発電に「ライフサイクルGHG基準」、2023年4月から適用スタートへ:法制度・規制(2/4 ページ)
2023年4月から、バイオマス発電における燃料の調達から利用に至るライフサイクル全体のGHG排出量の抑制に向けた新制度がスタートする。このほどその新制度の方向性tと概要が明らかになった。
ライフサイクルGHG排出量の「基準値」
バイオマス発電の持続可能性評価基準としてライフサイクルGHG排出量の「基準値」を設定するためには、比較対象となる電源(発電種別:火力等)の選定や、比較対象電源に対する「削減率」を定める必要がある。
つまり化石燃料火力発電と比べて、ライフサイクルベースで見た際のGHG排出量が仮に同等であるならば、それは持続可能な燃料とは言えない、という考え方である。
WGでは、諸外国と比べ遜色のない削減目標とする観点から、EU RED IIに倣い、
- I. 比較対象電源:2030年のエネルギーミックスを想定した火力発電
- II. 比較対象電源のライフサイクルGHG:2030年ミックスの電源構成に応じた加重平均値
とすることとした。これを具体的に表したものが、表2である。
電源構成比は第6次エネルギー基本計画に基づき、GHG排出量は「日本における発電技術のライフサイクルCO2排出量評価」(電力中央研究所)に基づいている(ただし、設備構築分を除いた値)。ライフサイクルGHGであるため、例えば石炭採掘や輸送に関わるGHG排出量も含まれている。
なお一般的にCO2排出係数はkg/kWhで表されるため、表2では参考までに換算値を加えている。この180g-CO2/ MJ電力(0.648kg/kWh)が基準値となる。
また削減率としては、諸外国と比べ遜色のない削減目標とする観点から、FIT/FIP制度においては液体・固体・気体に対して一律に、2030年時点で▲70%を適用する。
なお、事業者への影響や排出量削減の対応に必要となる時間を考慮し、段階的に削減率を引き上げることとして、制度開始から2029年度までの間の削減率は▲50%に緩和される。
なお2031年度以降の新たな削減率については、2025年度頃を目途にサプライチェーン全体での取り組み状況や国際的な議論の動向等を確認した上で、検討することとされた。バイオマス燃料の製造や輸送に関わるエネルギー全体が低炭素化・脱炭素化することにより、バイオマス燃料そのもののライフサイクルGHGの低炭素化が進むものと期待される。
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