ビル外壁にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を導入、積水化学らが実証実験:太陽光
積水化学工業とNTTデータが、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を建物外壁に設置する実証実験を2023年4月から開始。既存建物外壁への太陽電池モジュールの設置方法の確立、垂直面における発電効率の確認などを行い、都心部の既存建物などへのペロブスカイト太陽電池の導入拡大を目指すという。
積水化学工業は2023年2月13日、NTTデータと共同でフィルム型ペロブスカイト太陽電池を建物外壁に設置する実証実験を2023年4月から開始すると発表した。既存建物外壁への太陽電池モジュールの設置方法の確立、垂直面における発電効率の確認などを行い、都心部の既存建物などへのペロブスカイト太陽電池の導入拡大を目指すという。
フィルム型のペロブスカイト太陽電池は、軽量かつ柔軟という特徴を持ち、ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、あるいは車体などの曲面といった、さまざまな場所に設置できる。また、塗布などによる連続生産が可能であること、レアメタルを必要としないなどのメリットがあり、次世代の太陽電池として今後の普及が期待されている。
積水化学工業では、同社の独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」を生かしたフィルム型ペロブスカイト太陽電池開発を進めており、約10年の屋外耐久性や、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築。さらに、同製造プロセスによる発電効率15.0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功している。
今回取り組む実証では、まず積水化学工業の開発研究所の外壁に小面積のフィルム型がペロブスカイト太陽電池を設置。約1年間にわたって発電を行い、次のステップとしてNTTデータのNTT品川TWINSデータ棟の外壁に設置して実証を行う。
実証では既存建物外壁への太陽電池モジュールの設置方法の確立、垂直に設置する外壁面での発電効率の測定、予測値と実測値の比較、塩害地域での耐久性、発電した再エネの建物内利用の実用性などの検証を目的とする。
積水化学工業では今回の実証の他、2023年度からJR西日本うめきた(大阪)駅や東京都下水道局森ヶ崎水再生センターへの設置など、各種用途における技術実証と設置・施工方法の確立を進める。並行して、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金を活用し、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率のさらなる向上に向けた開発を進め、2025年の事業化を目指す方針だ。
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