東京都の太陽光発電“設置義務化”を完全解説、「建築物環境報告書制度」のポイント:2025年4月から施行(1/5 ページ)
東京都が建物に起因するエネルギーのCO2排出量削減に向け、新たに導入する「建築物環境報告書制度」。“太陽光発電の設置義務化”が話題となった同制度について、その主要なポイントを解説する。
東京都は、エネルギーの大消費地の責務として、2050年「ゼロエミッション東京」の実現に向け、2030年「カーボンハーフ」(温室効果ガス排出量50%削減、エネルギー消費量50%削減、再エネ電力使用割合50%程度)を表明している(数値は2000年比)・
都内CO2排出量の7割超が建物でのエネルギー使用に起因しており、家庭・業務部門の対策強化が急務とされている。これまで東京都は「環境確保条例」のもとで、様々な脱炭素化施策を講じてきたが、同条例を改正することにより、新築建物における年間着工棟数の98%を占める中小規模を対象とした「建築物環境報告書制度」を新設することとした。
本制度の代表的な施策が「太陽光発電の設置義務化」であり、当初は誤解も含めて話題となったが、本制度の具体的な内容を確認しておきたい。
新制度の対象となる中小新築建物
建築物環境報告書制度が対象とする中小規模建築物とは、延床面積が2,000m2未満のビルや住宅(マンション・戸建)であり、都内の年間着工棟数の 98%(約49,000棟)を占めている。2,000m2以上の大規模建築物については、すでに「建築物環境計画書制度」の対象とされている。
なお本制度では、あくまで新築が対象であり、既存住宅等の増築や大規模修繕・リフォームは対象外である。
太陽光パネルの設置義務者
太陽光パネルの設置は、住宅を注文する個人(施主)の義務ではなく、ハウスメーカー等の事業者が、設置義務者となる。
具体的には、都内において年間に延床面積の合計で2万m2以上供給する建物供給事業者が、義務対象者(特定供給事業者)となる。これに該当する事業者数は約50社であり、年間新築棟数のうち約53%をカバーする。
また、年間供給5千m2以上の事業者(またはグループ)のうち、希望する者は、「任意参加者」として制度に参加し、事業者のPRや社会的評価の向上につなげることが期待されている。なお、特定供給事業以外の小規模な事業者からの任意の報告も可能である。
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