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電力の卸取引の実態は――発電・小売電気事業者へのアンケート結果が公開:小売電気事業者の電源保有状況も明らかに(4/4 ページ)
資源エネルギー庁が、発電事業者と小売電気事業者に対して実施した、電力卸供給・調達の取引実態に関するアンケート調査を公表。各社の卸取引の最新状況や、実態が明らかとなった。
小売電気事業者による電源の保有
小売電気事業者のうち、現在自社電源を保有(※)している事業者は32%に上る。この「※保有」には自社電源を単独で保有するほか、特別目的会社(SPC)の設立・出資や、発電事業者と長期的なオフテイク契約を締結することにより、発電事業の投資回収のリスクを一部負う契約も含んでいる。
また今後、自社電源の保有等を新たに、もしくは追加的に行う意思がある小売電気事業者は54%である。保有を希望する電源種としては、一般水力や太陽光発電等の再エネ電源や蓄電池の保有意欲が高く、火力発電に対する関心は低めとなっている。
電源投資への意思決定にあたっては、電力市場価格や燃料市場価格に予見性がないことや、電力関係の制度変更が多いことが、主な阻害要因として挙げられている。
なお、資源エネルギー庁によるアンケート調査は、より多面的な質問により構成されている。電力・ガス基本政策小委員会におけるアンケート調査の報告は、今回が第一報であり、今後、その詳細な結果が公表される予定である。
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