回収率の低迷と漏洩が課題に――地球温暖化に影響するフロン類排出対策の現在:法制度・規制(2/4 ページ)
地球環境への悪影響が指摘されているフロン類。これまで国内外で排出量の抑制に向けた各種の施策が進められているが、フロン使用機器の廃棄時における回収率の低さや、仕様時の漏洩といった課題が残っている。こうしたフロン類の排出対策の現況を解説する。
代替フロンによる強い温室効果
オゾン層保護のため、日本をはじめとする世界各国では、特定フロンから、オゾン層を破壊しない「代替フロン」(HFC)に転換を進めてきた。
ところが代替フロンのGWP(地球温暖化係数:CO2を1とした場合の温暖化影響の強さを表す値)は非常に大きく、二酸化炭素の数十倍から1万倍以上の大きな温室効果を持つ(なお、特定フロンも強力な温室効果ガスである)。
2014年度以降、日本の温室効果ガス(GHG)排出量全体は減少している一方で、代替フロンの排出量は増加しており、2020年は5,170万t-CO2となった。(前年比4.0%増、2013年比61.0%増)。これは日本のGHG排出量の4.5%を占めており、気候変動対策の観点で、フロン類の排出抑制が喫緊の課題となっている。
なお、現行の地球温暖化対策計画における代替フロンの2030年度目標値は、1,450万t-CO2(2013年度比−55%)である。
HFCs(代替フロン)の排出量の内訳としては、業務用冷凍空調機器(業務用空調機器、冷凍冷蔵ショーケース、定置型冷凍冷蔵ユニット、ターボ式冷凍機等)や家庭用エアコンが大半を占めている。
「フロン排出抑制法」による排出抑制
このため国は、旧「フロン回収・破壊法」(2002年施行)により、フロン類の廃棄時の回収・破壊・再生の取組を求め、2013年改正により名称も「フロン排出抑制法」に改められた。これにより、フロン類の排出を上流から下流までライフサイクル全般(製造・使用・回収・再生・破壊等)にわたって抑制するよう制度が強化された。
なお、家庭用エアコン、カーエアコンは、それぞれ家電リサイクル法、自動車リサイクル法に基づき、廃棄機器からの冷媒回収が実施されている。
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