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大型化が進む洋上風力発電、新たな環境アセスメント制度を検討へ:法制度・規制(5/5 ページ)
国内でも導入に向けた動きが加速している洋上風力発電。設置される風車の大型化とともに大規模化が進むなか、政府では新たな環境アセスメント制度の創設に向けた検討を進めている。現行制度の課題と、今後の見通しをまとめた。
環境影響が懸念される項目の洗い出し・振り分け
環境省は、現地調査等の結果に基づき、環境影響が懸念される項目を洗い出した上で、環境影響の程度を見積もることとする。
仮に、環境の保全上の支障を生ずるおそれがあるため風車の立地等に適さない部分が存在する場合、促進区域の指定段階において、風車の立地制約を加える等の必要な措置を講じる。
また、環境影響の回避・低減のための適切な配慮を要する場合、公募占用指針において必要な条件を記載する等、公募段階において、必要な措置を講じることとする。
選定された事業者による環境アセスメント手続き
適正な環境配慮を確保するためには、具体的な事業諸元を含む事業計画が明らかになったのち、当該事業計画に係る予測・評価を実施することが必要である。
- 公募により選定された事業者は、環境アセス設計書に基づき、国が行った調査結果を踏まえ、具体的な事業諸元を含む事業計画に係る予測・評価等の最終段階の環境アセスメントを実施し、評価書案を取りまとめる
- 事業者は、評価書案について説明会を実施し、住民や地方公共団体等からの情報収集・意見聴取を実施することとする
- 事業者は、聴取した意見等をもとに必要に応じて修正を実施した上で、評価書を作成する
以上のように、環境配慮の検討結果を有望区域選定に反映することや、環境影響が懸念される項目については、促進区域指定のプロセスや公募占用指針に反映することにより、再エネ海域利用法と環境アセス制度の連携を図ることとした。
今後の検討会では、洋上風力発電の環境アセスに係る不確実性への対応や、EEZ、経過措置の考え方等について、事務局案が示される予定である。
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