分散型IDでVPPの構築コストを削減、日本ガイシとリコーが実証へ:エネルギー管理
日本ガイシとリコーが分散型IDを活用して低コストで堅固なセキュリティを実現する独自のVPP(仮想発電所)システムの構築を開始。早期の事業化を目指し、2023年度内にシステムを構築し、2024年度から実フィールドでの検証を行うという。
日本ガイシとリコーは2023年8月、分散型IDを活用して低コストで堅固なセキュリティを実現する独自のVPP(仮想発電所)システムの構築を開始したと発表した。早期の事業化を目指し、2023年度内にシステムを構築し、2024年度から実フィールドでの検証を行うという。
この取り組みは両社が出資する合弁会社NR-Power Labが、IoTスタートアップであるCollaboGate Japan(渋谷区)とSassor(目黒区)の2社と連携して実施するもの。
今回構築するVPPシステムは、消費電力や発電量を予測し、収益が最大となるポートフォリオになるよう、多種多様なエネルギーリソースをAIにより自動で最適制御を行う。また、エネルギーリソースが増大した場合でも、分散型IDを用いることで、一つ一つのエネルギーリソースから提供されるデータを正確に把握できるという。
分散型IDとは、ブロックチェーン技術などを活用し、個人または法人や機器が主体となりIDを管理する技術。これを活用することより、従来の中央集権型システムで必要とされていた設備投資や人員を削減することができ、エネルギーリソースの信頼性担保とコスト低減の両立が可能になるとしている。なお、分散型IDをエネルギーリソースの信頼性担保のために活用するのは、世界で初めの取り組みになるとしている。
2024年度からの実証には、2023年7月末時点で、IHI、タクマエナジーなど、計8社がパートナーとして参画。これらの企業とともに多様なエネルギーリソースの確保や制御方法、精度向上の検証、経済性評価などを行う予定だ。今後も継続的にパートナーを募り、サービスの拡充を進めるとしている。
将来的には開発したVPPシステムを利用して生み出した調整力を電力会社等に提供したり、VPPシステムを他社にSaaS型で提供したりといったビジネス展開を計画するとしている。
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