再エネ出力制御を回避する方法を確立へ、NTTデータと中部電力が共同研究:エネルギー管理
NTTデータ、中部電力、中部電力パワーグリッドは、再生可能エネルギーの出力制御を回避する仕組みに関する共同研究を開始したと発表した。
NTTデータ、中部電力、中部電力パワーグリッドは2023年8月22日、再生可能エネルギーの出力制御を回避する仕組みに関する共同研究を開始したと発表した。デマンドレスポンスより、夕方から翌朝に電力消費する分散型エネルギーリソースの需要を太陽光の出力制御時間帯へシフトする仕組みの構築を目指すという。
太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの大量導入に伴い、電力系統の安定化に向けて、発電量を抑制する出力制御を実施するケースが増えている。中部電力パワーグリッドの供給エリアでは、2023年度に初めて出力制御を実施し、最大の余剰発生時刻において、223万kW(当日の再生可能エネルギー発電能力の約25%に相当)の出力制御を実施している。
今回の共同研究は、こうした再生可能エネルギー電源の出力制御量の低減を目指すというのもの。具体的には、電気自動車、ヒートポンプ、蓄電池などの分散型エネルギーリソースの活用により、夕方から翌朝の需要を昼間にシフトし、本来、余剰となる電力を活用することで、出力制御の回避を目指すという。
この取り組みによって、夜間の火力発電等を減らし、昼間の再生可能エネルギー発電量を増やすことで、燃料費およびCO2排出削減への貢献も目指すとともに、再生可能エネルギーのさらなる導入促進や、需要シフトに対応可能な機器の導入促進につなげる狙い。
NTTデータは、主にデータ活用・分析に関するプラットフォーム構築やIoT機器制御に関する知見をもとにマッチングに関する最適化アルゴリズムの検討を担い、中部電力および中部電力パワーグリッドは、主に現行の出力制御の仕組みや再生可能エネルギーに関連する各種制度に関する知見をもとに、事業スキームの検討を行う。
2024年度からフィールド実証を始め、2027年度までに実運用を目指す方針だ。
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