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大幅な見直しが行われたベースロード市場、2023年度初回オークションの結果と分析エネルギー管理(2/5 ページ)

ベースロード電源に対するアクセスの公平性確保や、その活用促進に向けて導入されたベースロード市場。導入から数年が経過し、複数の制度変更が行われたなかで、2023年度の第1回オークションの結果が公表された。本稿では制度変更の概要とともにその結果を解説する。

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市場分断による値差の拡大

 BL市場は、広域メリットオーダー達成の観点から全国一律の市場を目指すことを原則としながらも、間接オークションのもとでスポット市場を介してエリア間取引を行うため、一定の市場分断リスクを考慮することが求められる。

 このため2022年度まで、BL市場はあらかじめ北海道、東日本、西日本の3つのブロック(市場範囲)に区画されており、それらの基準エリアプライスは表2のとおりであった。


表2.2022年度までのBL市場商品と基準エリアプライス 出所:筆者作成

 BL市場は、年間を通じた固定価格で売買することがその特徴であるものの、市場分断が発生した際には、実際の精算価格はエリア間値差の影響を被ることとなる。


図3.BL市場精算価格の算定式 出所:制度検討作業部会

 2021年度以降、九州⇔中国間等の地域間連系線での市場分断率が上昇しており、売り手は費用を適切に回収できないリスク、買い手は約定価格で購入できないリスクが増加していた。


図4.分断値差の1年間の移動平均値【エリアプライス】−【基準エリアプライス】 出所:制度検討作業部会

市場区画(市場範囲)の見直し

 BL市場では市場間値差への対応として、市場範囲及び値差清算における閾値について、毎年度オークション前に見直すこととしており、表3の①②両方の基準を満たした場合には市場範囲の「分割」を検討し、当該基準以下となった場合は「統合」することを検討することとしている。


表3.市場範囲の判断項目と基準 出所:制度検討作業部会

 2022年度には、中国−九州エリア間連系線は上記分断基準を大きく上回ったため、2023年度は九州エリアを分割することとした。

 他方、北海道−東北エリア間は、分断発生率・分断値差ともに分断基準を下回っていることが確認されたため、2023年度は北海道を東日本エリアに統合することとした。2022年度には、北海道エリアは4回オークションのうち2回しか約定しなかったが、東日本エリアに統合することにより、今後は約定量が増加することが期待される。


表4.各エリア間の分断値差発生率及び分断値差 出所:制度検討作業部会

図5.2023年度オークション市場範囲 出所:制度検討作業部会

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