バイオマス燃料のGHG情報の開示方法を整備へ、第三者認証の取得は一部で課題も:法制度・規制(4/4 ページ)
資源エネルギー庁は、事業者がバイオマス燃料のライフサイクルGHG(温室効果ガス)を公開・報告する仕組みを提示した。一方、FIT/FIP制度の適用の前提となる一部バイオマス燃料の第三者認証の取得については、搾油工場の認証取得が進んでいないことなど、課題が顕在化している。
認証未取得のPKS数量に相当する発電量試算
FIT制度開始以降、PKSの輸入量と価格のいずれも上昇傾向にあった。経過措置の認証取得期限に間に合わない場合、日本国内のFIT/FIP発電所では当該PKSを燃料として使用することはできないが、世界的にバイオマス燃料の需要が拡大しているため、非認証PKSの輸出先は他国へと振り替えられると推測される。
WG事務局では、一定の前提条件(認証取得率30%)のもとで、認証未取得のPKS数量に相当する発電電力量を、44億kWhと試算している。これは日本の年間総発電電力量の0.43%に相当する。
ただし、PKSは木質チップや木質ペレット等と混焼利用することが一般的である。そのため、PKSの調達量が大きく減少する発電所では、代替燃料を調達できない限り、発電を継続すること自体が困難となる可能性もあり、喪失電力量は、これ以上に大きくなるおそれもある。
PKS等の経過措置終了に伴う事業計画の変更申請
十分な量の認証PKSを調達できない発電事業者は、代替燃料を調達できる場合、以下のような事業計画の変更認定申請が必要となる。
変更認定申請に掛かる標準処理期間は4カ月であるため、該当する発電事業者は、速やかに代替燃料の確保と同時に、申請手続きが必要となる。(PKSの認証取得後に再度変更する場合も同様)
ただし、例えば国内未利用材はすでに多くの地域で需給がタイトになっていることなどから、代替燃料を調達することは必ずしも容易ではないと考えられる。また、玉突き状態的に、他の発電所の燃料調達(量と価格面)を悪化させることも懸念される。
FIT/FIP制度では、法令上、持続可能性が確認された燃料のみを使用することが求められていることを踏まえ、バイオマス持続可能性WGの第24回会合において委員の多くは、PKS及びパームトランクの経過措置の再延長は行わないという事務局案を支持した。
これと同時に、運用面での何らかの柔軟的措置を求める声も多く、事務局では、対処策を検討する予定としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
改正省エネ法の対応実務のポイント、2024年度からの報告・任意開示にはどう対応すべき?
2023年4月から施行された改正省エネ法。新たに再エネや非化石エネルギーの利用に関する内容を報告書に盛り込む必要があるなど、事業者はこれまでと異なる対応が求めらるようになりました。本稿ではこうした改正省エネ法に対する具体的な対応の要点や、今後の社会情勢を見据えたGXマネジメントのポイントまで解説します。
都市ガスの脱炭素化に役立つ「バイオガス・バイオメタン」、国内外の普及動向
都市ガスのカーボンニュートラルの実現策として期待されている「バイオガス・バイオメタン」。現在の日本国内における利用状況と関連制度の、そして海外での利活用の状況についてまとめた。
非化石価値を取引する2つの市場、その最新動向と今後の制度変更の見通し
国内で非化石価値を取引することができる「再エネ価値取引市場」と「高度化法義務達成市場」。このほどこの2つの市場について、最新の動向が報告された。


