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非FIT非化石証書を扱う「高度化法義務達成市場」、市場取引の監視結果が公開エネルギー管理(1/4 ページ)

小売電気事業者に義務付けられている非化石電源比率の達成手段として運用されている「高度化法義務達成市場」。制度検討作業部会の第85回会合において、これまでの市場取引及び相対取引の監視結果が報告された。

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 小売電気事業者(年間販売電力量5億kWh以上)は、エネルギー供給構造高度化法(以下、高度化法)のもと、一定の非化石電源比率を達成することが求められている。この達成手段の一つとして、非化石価値(非FIT非化石証書)を取引する「高度化法義務達成市場」が設けられている。

 高度化法の第1フェーズの最終年度である2022年度には、非FIT非化石証書の需給バランスが非常にタイトとなり、約定価格はその上限値1.3円/kWhを付けるなど、一定の混乱も生じていた。


図1.高度化法義務達成市場オークション結果(再エネ指定なし証書) 出典:制度検討作業部会

 電力・ガス取引監視等委員会は、支配的事業者による「売り惜しみ」や「価格吊り上げ」の観点から問題となる行為がないか非化石証書の取引を監視しており、制度検討作業部会の第85回会合において、市場取引及び相対取引の監視結果が報告された。なお監視の対象となる支配的事業者とは、入札行動等が証書の価格形成に大きな影響を与え得る、旧一般電気事業者(旧一電)及び電源開発とされている。

2022年度の非FIT非化石証書の取引概要

 非FIT非化石証書は、相対取引もしくは市場(JEPX)における取引所取引のいずれも可能である。その取引方式や取引相手の違いにより、監視対象事業者の2022年度の非FIT非化石証書の取引概要を示したものが表1である。


表1.2022年度非FIT非化石証書の取引概要 出典:制度検討作業部会

 監視対象事業者(以下、事業者)は、非FIT非化石証書の大半を相対取引によって販売しており、このうち2社は全量もしくはほぼ全量を社内・グループ内取引に充てるなど、社内・グループ内取引比率が非常に高い事業者が多いことが明らかとなった。

 なお、事業者10社の合計(最右列)では、認定量の約5割が社内・グループ内取引であるが、これには社内・グループ内取引に該当するものが無いE社も含まれているため、内外比率の検証のためには、E社を除く比率を示すことが適切であると考えられる。

 また、旧一電等によるグループ外取引量の8割超が相対契約であり、市場供出量(=市場取引約定量)は、全体の約7%に留まる。

 制度検討作業部会の過去の議論において、グループ内取引範囲外の証書は退蔵させることなくグループ外に販売することが経済合理的であり、まずは発電事業者の経済合理的行動に期待し、発電事業者に対して、証書をJEPXのオークションで販売することを強制しなくてもよいと整理されていた。

 作業部会のオブザーバーからは、市場取引により売れ残りが生じることよりも、あらかじめ相対取引により販売することが、予見性を高める観点で合理的であることが説明されている。

 2022年度第1〜4回のオークションにおいて、各事業者の市場投入予定量(=市場投入可能量)と実際の売入札量を比較したところ、いずれの事業者も、市場投入予定量の全量を市場に供出していることが確認された。

 監視等委員会は、市場取引(オークション)において、売り惜しみや価格吊り上げは見当たらなかったことを報告している。

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