企業の脱炭素投資はどう評価されるべき? 政府が「GX製品市場」の在り方を検討へ:GX(グリーントランスフォーメーション)投資の促進へ(4/4 ページ)
企業の脱炭素投資を促すためには、グリーントランスフォーメーション(GX)による価値が市場で適切に評価・選択される必要がある。政府ではこうした企業の脱炭素投資によって生まれる製品・サービスを「GX製品」と称し、その適切な価値の評価付けや市場創出に向けた検討を開始した。
GXリーグにおけるGX市場創造の取り組み
GXリーグとは、2050年カーボンニュートラルと社会変革を見据えて、官民共同でGXを牽引する枠組みであり、その参画企業は、自主設定した目標達成に向けた排出量取引や、GX市場創造に向けたルールメイキングに取り組んでいる。
GXリーグでは、商品のグリーン価値がグローバル市場で付加価値として認識され、活用されるための業界横断の仕組みを提案することを目的として、『グリーン商材付加価値WG』を組成し、参画企業による検討を行ってきた。
WGでは、具体的な成果の一つとして、製品が持つ排出量そのものだけではなく、製品が有するGHG排出削減価値量を「ΔCO2(デルタCO2)」として評価することを提唱している。
WGでは、製品ライフサイクル全体の排出量を把握するための指標であるCFPと対比して、追加性のある実際の削減量を「ΔCO2」と定義し、その活用手法の案を提示している。
「ΔCO2」の考え方は、「削減貢献量(Avoided emission)」や「排出原単位の低減」、「削減証明によるプレミアム付与」等を包含した概念として、グリーン製品のGX価値主張の手法の一つとして提言されている。
今後、GXリーグWGでは、表1の5分野のグリーン商材についての実証事業や認証事業の展開、国際標準化の取組みを推進することを予定している。
また研究会事務局では今後、GXリーグの参画企業等との意見交換を行い、ステークホルダーによる一定の合意形成を図り、2023年度末には研究会の「中間整理」を公表する予定としている。
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