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2050年の電力需給バランスはどうなるのか? シナリオ別の試算結果が公表:エネルギー管理(4/4 ページ)
電力広域的運営推進機関が、日本の中長期的な電力需給の分析を開始。11月に開催された検討会では、複数の企業・団体によるシナリオ別の試算結果が公表された。
デロイトトーマツコンサルティングによるモデル分析結果
デロイトトーマツコンサルティングでは、エネルギーシミュレーションツール「TIMES」を用いて、2050年カーボンニュートラルの実現を前提として、エネルギー自給率を分岐要素としたシナリオを想定し、将来の電力需要を推計している。デロイトが想定した3つのシナリオとシミュレーション条件は表2のとおりである。
シミュレーションでは、2040年の電力需要は各ケースで大きな差はないものの、2050年には自給率が増加するにつれて電力需要が大きく増加する結果となった。
これは、自給率が高くなるにつれて各部門の電化が進むほか、図9のように水素製造のための消費電力が増加することが最大の理由である。また水素の需給バランスを見ると、エネルギー自給率が低いケースでは海外からの輸入水素が大半を占めるが、エネルギー自給率が高いケースでは国内水素の製造量が増える結果となっている。
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