中小企業の13.8%が取引先から「脱炭素経営」の要望、実行できている企業はわずか:エネルギー管理
フォーバルGDXリサーチ研究所が「中小企業の脱炭素経営に関する実態調査」の結果を公表。中小企業の10社に1社以上が、上流企業や大手の取引先から脱炭素の取り組みを求められているという。
フォーバルGDXリサーチ研究所は2024年2月、「中小企業の脱炭素経営に関する実態調査」の結果を公表した。中小企業の10社に1社以上が、上流企業や大手の取引先から脱炭素の取り組みを求められているという。
調査は国内の中小企業経営者600名を対象に実施したもので、調査期間は2023年10月16日〜11月15日、Webアンケートで実施した。
上流企業や大手の取引先から、脱炭素に対する具体的な要求やアクションがあったかを聞いた項目では、13.8%が「あった」と回答。その具体的な内容としては、「脱炭素の取り組みに関するヒアリングがあった」が9.0%、「排出量の削減を求められた」が3.1%、「排出量の算出を求められた」が1.6%となった。
一方で「脱炭素経営に取り組みたいと考えているか」という質問に対し、「はい」と答えたのは33.5%で、「どちらとも言えない」が51.7%と半数以上を占める結果となった。
また、上記の質問に対し、「はい」「どちらとも言えない」と回答をした経営者に、脱炭素に関する取り組みの状況を聞いたところ、「十分に取り組めている」と回答したのは4.0%だった、また、「全く取り組めていない」「あまり取り組めていない」の合計は53.3%で、半数以上となった。
なお、「全く取り組めていない」「あまり取り組めていない」と経営者に、今後の脱炭素経営への取り組み意欲を聞いたところ、70.1%が「いずれは取り組むべきである」と回答。レポートでは多くの経営者が取り組む意思は持っているものの、やり方が分からない、時間的・人的・金銭的余裕がないなどの課題から、具体的な実行に移せない中小企業が多い状況が推察されるとしている。
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