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製品のGX価値評価に新指標、新たに登場する「削減実績量」の定義と運用方法とは?エネルギー管理(1/4 ページ)

脱炭素に貢献する「GX価値」を持つ商品が適切に評価される環境の構築に向け、政府では新たな評価指標として「実際に自社の排出量を削減した施策に基づく製品単位のGHG排出削減量」を意味する「削減実績量」(仮称)を導入する方針だ。

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 社会全体でのカーボンニュートラル実現のためには、脱炭素・低炭素な製品・サービスが創出・提供される必要があり、企業がGX(グリーントランスフォーメーション)投資に取り組むためには、脱炭素に由来する価値(GX価値)を有する製品が評価・選好され、適切な対価で購入されることが必要となる。

 経済産業省の「産業競争力強化及び排出削減の実現に向けた需要創出に資するGX製品市場に関する研究会」では、これまでの議論を踏まえた中間とりまとめに向けて、CO2排出削減の取り組みを最終製品の付加価値に反映するための考え方や、政策の基本的方向性を整理した。

製品のGX価値の指標の整理

 通常どのような製品も、原材料等の上流からその使用段階、また廃棄・リサイクル等の下流といった大きなサプライチェーンに関わる多くの企業群から成立している。このため、サプライチェーンの上流企業の脱炭素の努力を下流の企業が評価し(またその逆方向も同様)、最終消費者まで訴求することを通じたGX価値を適切に把握するためには、製品ライフサイクル全体での評価が重要となる。

 製品ライフサイクルの各工程に関わる事業者におけるGXの取り組みとしては、「1.使用段階におけるエネルギー消費量の低減(省エネ)」のほか、「2.原材料製造・製品組立時のプロセス転換や原燃料転換」、「3.リサイクルや資源循環を通じた廃棄時のGHG排出の低減」などが考えられる。社会全体のカーボンニュートラルに向けては、各段階の事業者の排出量の大小よりも、サプライチェーン全体の合計排出量(排出削減量)の大小が重要になると考えられる。

 製品ライフサイクル全体でのCO2排出量を表す指標としては、すでに「カーボンフットプリント(CFP)」が存在する。2050年カーボンニュートラル社会において、絶対量としての排出量が少ない製品を選定・購入するためには、CFPが適切な評価指標となると考えられる。

 他方、製品や業界によっては、一足飛びに脱炭素に向かうことの困難性が高いことから、脱炭素に向けた移行期(トランジション)においては、製品の排出削減の努力を定量的に評価する新たな指標を用いることにより、事業者の削減努力を促すことも重要である。


図1.「削減実績量」(仮称)のイメージ 出典:GX製品市場に関する研究会

 本研究会事務局では、このような新たな指標として、「実際に自社の排出量を削減した施策に基づく製品単位のGHG排出削減量」である「削減実績量」(仮称)を提案している。

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