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「同時市場」の論点、セルフスケジュール電源や相対契約に関する制度設計の方向性法制度・規制(2/4 ページ)

調整力や供給力のより効率的な調達を目的に導入が検討されている「同時市場」。最新の「同時市場の在り方等に関する検討会」では、相対取引やセルフスケジュール電源、電源差替の取り扱いなど、電源の調達・運用に関するBGの自由度に関する制度設計について議論が行われた。

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現行制度における市場供出の考え方

 将来の同時市場におけるBGによる電源運用・市場入札の在り方を検討するにあたり、現行制度における市場供出の考え方が整理された。

 現在、「適正な電力取引についての指針」において、JEPXスポット市場で売入札をする全ての事業者は、余剰電力の全量を限界費用に基づく価格で入札することが「望ましい行為」とされており、このうち市場支配力を有する可能性の高い事業者については、事後的な検証も行われている。

 余剰電力とは図3のように、各コマにおける「自社供給力−自社想定需要(自社小売需要と他社への相対卸等の合計)−予備力−入札制約」と算定されている。これは平常時のケースであり、需給逼迫のおそれのある緊急時には、一般送配電事業者が電源起動を指示するなどにより、供給力全量が供出される。


図3.余剰電力の全量(=入札可能量)の算出イメージ 出典:制度設計専門会合

 図3にある「予備力」は、従来、周波数維持義務を持つ一般送配電事業者と、供給力確保義務を持つ小売電気事業者のそれぞれが一定量を確保してきたが、2024年4月の容量市場導入以降は、容量拠出金を支払うことにより、供給力確保義務を果たすことになる。

 また、計画値同時同量の観点からは、仮にスポット市場等で売り切れが生じ、不足インバランスが発生する場合でも、小売電気事業者がスポット市場で適切に買い入札を行っている等の複数の要件を満たしている場合には、義務違反ではないと整理されている。

 なお、燃料を含むkWhの確保の観点からは、電力システム改革の検証において、別途検討が行われる予定である。

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