国内の太陽光のPPAモデル市場、2040年度までに10倍以上に成長の見通し:太陽光
富士経済がそれによると、昨今注目されている太陽光発電の「PPAモデル(第三者所有モデル)」の市場は、2022年度比で2040年度までに10倍以上に拡大する見通しだという。
富士経済は2024年4月1日、再生可能エネルギー発電システムの国内市場に関する市場調査の結果を発表した。それによると、昨今注目されている太陽光発電の「PPAモデル(第三者所有モデル)」の市場は、2040年度までに10倍以上に拡大する見通しだという。
太陽光や風力、地熱、バイオマスなどを含む再生可能エネルギーシステム全体の市場規模(設置・施工費なども含む)は、2023年度は前年度比6.8%減の1兆9787億円の見通し。太陽光発電システムが市場の約6割を占め、次に風力発電システム、バイオマス発電システムと続く。
今後の太陽光発電の市場については、地方自治体による新築・増築時の太陽光パネル設置義務条例などを背景に、住宅分野での増加が見込まれる他、ZEH推進に伴う建築物への導入などが進む見通し。一方、非住宅はオンサイト/オフサイトPPAに加え、FIP案件とバーチャルPPAを組み合わせた導入も増えるとみられ、長期的には環境価値の取得・活用が可能なNon-FIT案件が伸びると予想される。ただし、長期的な生産拡充で太陽光発電システムの価格は下落することから、2040年度の市場は、2022年度を下回ると予測した。
PPA市場は22年度比で10倍以上に
注目市場として上げているのが、PPAモデルなどの第三者所有タイプの太陽光発電市場だ。2023年度の太陽光発電のPPAモデル市場は、前年度比35.0%増の551億円と予測。オンサイトPPAが高い割合を占めており、住宅向けは、ローコスト志向の中小ビルダーを中心に、新築戸建住宅で採用が進んでいる。また、ZEH推進の動きも導入を後押しする。非住宅では、大面積屋根の施設における普及が済んでいるため、中小規模案件が増加している状況だという。
今後、住宅向けではPPAモデルの自体の認知向上に加え、太陽光発電システムと蓄電システムをセットとしたPPAのラインアップが拡充されることで、さらに市場規模が伸びる見通し。非住宅向けは、太陽光発電システム自体のコスト削減と電気料金上昇に伴い、野立案件によるオフサイトPPAが増えるとみられる。これらの伸びにより、2040年度の市場は、2022年度比10.4倍の4224億円に成長する見通しとした。
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