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万が一を想定した「計画停電」への備え、2024年度以降の実施スキームが公表エネルギー管理(2/4 ページ)

広域的な大規模停電(ブラックアウト)を回避し、電力需給のバランスを保つために実施する「計画停電」。このほど資源エネルギー庁や広域機関は非常時を想定し、一般送配電事業者10社とともに「万一の際の備えとしての計画停電の考え方」を取りまとめた。

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容量市場の容量確保契約に基づく供給力の供出

 2024年度から容量市場の実需給が開始された。容量市場では、広域予備率が8%を下回ると見込まれる場合を「需給ひっ迫のおそれがあるとき」と定義し、容量確保契約を締結済みの全ての稼働可能な計画となっている電源等に対して、小売電気事業者に電気を供給すること、もしくは市場に応札することをリクワイアメントとしている。この未達の場合は、経済的ペナルティが課される。

 また、容量確保契約事業者に確実に供給力を供出することを促すため、表1のタイミングで広域機関から通知が行われる。


表1.広域予備率改善のための、容量確保契約者に向けた通知 出典:調整力及び需給バランス評価等に関する委員会

 2024年度以降は、これらの「通知」や市場価格シグナルによって供給力が増加し、広域予備率の回復が期待されるが、それでもなお広域予備率が8%を下回る場合は、一般送配電事業者が追加供給力対策を実施することになる。「2023年度まで」と2024年度以降の需給運用の違いを表したものが図4である。


図4.2024年度以前/以降の需給運用 出典:調整力及び需給バランス評価等に関する委員会

容量市場 発動指令電源の運用

 2023年度以前は、広域予備率が8%を下回る場合には、一般送配電事業者が事前に確保していた電源I’を発動し、広域予備率を回復させていた。2024年度の容量市場開始以降は、電源I’に代わり「発動指令電源」を発動することになる。

 発動指令電源は、事業者間の公平性の観点から、各エリアで2グループに分け、各グループを輪番で発動する部分発動を基本とした運用が行われる。また、エリア間の公平性の観点から、広域ブロック内のエリア間の累積発動回数に差がある場合には、累積発動回数が小さいエリアを優先して発動指令が行われる。


表2.電源I’と発動指令電源の同異 出典:調整力及び需給バランス評価等に関する委員会

 また容量市場において、調整機能を有する電源は、一般送配電事業者と「余力活用契約」を締結する必要がある。一般送配電事業者は、電力需給逼迫時の追加的供給力対策として、余力活用契約に基づき、①定格出力を超えた過負荷運転(増出力運転)や、②排気ガスの温度設定を通常の運転値より超過させることにより出力を上昇させる運転(ピークモード運転)を求めることが可能である。

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