日本のEV充電器の普及状況は? 最新情報や電力需要の動向が公開:第7回「充電インフラ整備促進に向けた検討会」(2/4 ページ)
2023年10月に公表された「充電インフラの整備促進に向けた指針」。第7回「充電インフラ整備促進に向けた検討会」では、同指針に基づく充電インフラ整備の進捗や電力需要の現状等について確認が行われた。
公共用急速充電器――高出力化の進展
2023年10月策定の「指針」において、急速充電は、高速道路では原則1口の出力を90kW以上とすることや高速道路以外でも50kW以上を目安として、平均出力を現状の40kWから80kWへ倍増させることを目標としている。
公共用急速充電器の9割をカバーするe-Mobility Powerによると、この1年間で50kW以上の急速充電器は2,000口近く増加し、50kW以上が累積設置数の約6割を占めており、全体として高出力化が進んでいる。
EV利用者の利便性を損なわない「最適な充電器の出力」は、充電の目的と過ごす場所によって異なり、別の用事の「ついでに充電する」場合の充電時間は苦にならないが、移動途中の場合は高出力充電器で短時間充電のニーズが高まる。また、充電器設置場所提供者であるコンビニやガソリンスタンドでは、元々短時間の駐車しか想定しておらず、15分程度で駐車スペースを空けるため、高出力化の要望がe-Mobility Power社に寄せられている。
今後の充電インフラ補助金の運用方針
2023年度は、175億円の充電インフラ補助金措置により、急速充電・普通充電合計で11,798口の充電器が設置された。限られた補助金予算を活用して効果的に民間投資を促すため、充電出力kW当たりの補助金申請額を踏まえた基準額を設定し、当該基準に基づいて受付案件を選定する方式が、2023年度から導入された。
2024年度は、前年度比2倍の360億円を措置しつつ、費用対効果の高い案件を優先する募集方式を継続する。
また、利便性が高く持続可能な充電インフラ社会の構築を目指す上では、充電器の設置場所に関する状況や稼働率などの情報を公表することが望ましい。このため、補助金を活用して設置する充電器については、各事業者の場所ごとの設置数や稼働率について、定期的に各社のHP等で公表するなどの措置について、検討を行う予定としている。
また、充電設備と管理・運用システム間の通信規格であるOCPP(Open Charge Point Protocol)では、いずれの充電事業者でも専用端末等を用意することなく接続することが可能であるため、充電事業者が変更されても引き続き充電器の利用が可能である。
よって、公共用・非公共用(一般戸建て向けを除く)充電器については、OCPPの搭載を補助要件とすることが、すでに充電インフラ整備指針で示されている。
具体的には、公共用の充電器については、電源オンオフ機能や認証機能等の一般的な充電器に標準的に搭載されている機能については、2025年度以降、OCPP準拠を補助金の要件とする。また、非公共用の充電器(特にマンション)のうち、通信で課金や制御をする充電器は、2026年度以降、公共用充電器と同等のレベルのOCPP準拠を補助金の要件とする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


