ニュース
低炭素水素の普及を促す新施策、「価格差に着目した支援」の詳細設計:第14回「水素・アンモニア政策小委員会」等合同会議(4/4 ページ)
低炭素な水素の普及に向けた施策として、国は一定の基準を満たした事業を支援する制度の検討を進めている。各事業者がプロジェクトコストを回収できる水素の基準価格と、実際の供給コストの「価格差」分を支援する方針だ。第14回「水素・アンモニア政策小委員会」ではこの新制度の詳細設計について検討が行われた。
水素等供給事業者による取り組み計画
水素社会推進法において、「水素等供給事業者」は政府の目標等を踏まえ、低炭素水素等の供給に関する目標を定め、これを達成するための取り組みを計画的に行うことが求められる。
なお、水素等供給事業者のうち、水素等の供給量が一定規模以上の者(表3)を「特定水素等供給事業者」と定義し、取り組みが著しく不十分な場合には、勧告・命令の対象となる。
水素等供給事業者は、以下の1〜3等の取り組みを行うことにより、低炭素水素等の供給を行うことが求められる。
- 水素等のエネルギー源又は原材料として非化石エネルギー源(再エネ等)を利用すること。
- 水素等のエネルギー源又は原材料としての化石燃料の利用に伴って発生するCO2を関係法令に基づいてCCSにより適切に処理していること。
- (1/2だけでは低炭素水素等の供給に係る目標が達成できない場合には)非化石証書その他の方法によりCO2の排出量の削減を図ること。
現時点、3の「その他の方法」に何が該当するかは未定である。
水素等供給事業者が供給する低炭素水素等は、ISO規格により炭素集約度を算定の上、低炭素水素等の供給量実績やその効果等を自社Webサイト等で公表する。
また水素等供給事業者は、低炭素水素等である旨の表示を付して供給を行い、外部評価機関による認証を得るよう努めるほか、用途に応じた適正な品質を確保するため、低炭素水素等の品質がISO規格等に適合するよう配慮することが求められる。
今後の想定スケジュール
国は今回の合同会議の議論を踏まえ、政省令・告示案のパブリックコメントを実施し、夏頃の水素社会推進法施行を予定している。「価格差に着目した支援」制度については、夏頃を目途に申請受付を開始し、年内に1件目の採択を目指している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
水素と化石燃料の差額を支援する「値差支援制度」、価格面などの詳細案が明らかに
水素やアンモニアなどのサプライチェーン構築の促進に向けて、化石燃料の価格差分を支援する「値差支援制度」の導入を検討している。このほど同制度の具体化に向けて、基準価格などの考え方について詳細な方針が示された。
ガスの脱炭素化で期待の「合成メタン」、その基準案とメタネーション技術の開発動向
ガス分野の脱炭素化技術として普及が期待されているメタネーション。1年ぶりに開催された「メタネーション推進官民協議会」では、今後普及が期待されている低炭素e-methane(合成メタン)の基準案や、最新の技術開発の動向などが報告された。
EUや米中の戦略は? 諸外国におけるバイオ燃料政策の動向
運輸分野における脱炭素化の切り札として期待されている「バイオ燃料」の動向について解説する本連載。第2回目となる今回は、主要各国・地域のエネルギー戦略におけるバイオ燃料の位置付けや、政策動向について解説する。

