需給調整市場の「市場外取引」は一時中断、三次調整力②に新たな調達手法を導入へ:第48回「需給調整市場検討小委員会」/第94回「制度検討作業部会」(2/4 ページ)
応札不足による大幅な約定量不足や約定価格の高騰が生じている需給調整市場。資源エネルギー庁の制度検討作業部会では、これらの問題に向けて実施した対策の効果確認や、追加的な対策の実施について検討が行われた。
三次②における「効率的な調達」の早期導入
現在、二次②・三次①は実需給の前週段階で週間商品として調達しているが、2026年度以降は調達タイミングを前日に移行することが予定されている。また、前日取引に移行するまでの間も、より効率的に調整⼒を調達するため、週間断面で調達する調整力量を最大値(3σ)相当から1σ相当へ減らし、調整力が不足する可能性がある場合は、前日時点で追加調達する方法としている(ただし、二次②・三次①の代替とされる前日商品の三次②は、先述のとおり追加調達を一時中断している)。
需給調整市場検討小委員会では、この「効率的な調達」手法を三次②に対しても適用することについて検討を行ったところ、導入効果としては、全エリア合計で34%程度の調達量低減が期待できると試算されている。
三次②が取り引きされる前日市場よりも後に開催される市場は時間前市場だけである。よって当初は、三次②の効率的な調達についても時間前市場で追加調達する案としていた。しかしながら、二次②・三次①の「効率的な調達」は追加調達の一時中断により、すでに現時点、実質的に余力活用契約で賄っていると言える。よって三次②についても、可能な限り早期に「効率的な調達」を導入する観点から、余力活用契約により追加調達を行うこととした。
具体的には6月30日取引分(7月1日受渡分)から、三次②の「効率的な調達」を導入する。なお現在(6月以降)は暫定対策として、削減係数による募集量圧縮が実施されているため、3σ相当の募集量に削減係数を乗じた削減後募集量と、1σ相当の募集量のうち、小さい方を募集量とする。
また現在、三次②の余剰分は時間前市場へ売り入札を行うこととしているが、当面はハンド処理による業務負担が大きいことや、売り入札と買い入札を同時に実施することは経済面・業務面ともに合理的ではないため、簡便な方法として、1日48コマを通して売り/買い入札のいずれかのみを実施している。
しかしながら、「削減係数による募集量圧縮」と今回の「効率的な調達」の両方の対策を実施している間は、ほぼ毎日、少なくとも1コマは余力活用対応(買い行動)を行うため、実質的に売り入札を行う機会はほぼなくなると考えられるため、三次②の時間前市場での売却は一時中断することとした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

