需給調整市場で揚水発電所からの応札はなぜ少ない? 対応策を検討へ:第48回「需給調整市場検討小委員会」/第94回「制度検討作業部会」(4/4 ページ)
需給調整市における課題の一つとして、揚水発電所からの応札の少なさが指摘されている。政府の制度検討作業部会で、需給調整市場における揚水発電の応札拡大方策や、揚水発電の公募調達について検討が行われた。
対応策2:「TSOが揚水機並列し、持ち替え先も用意」における論点
調整力提供者(揚水発電)は、需給調整市場にΔkWを入札した場合、卸電力市場や相対取引等を活用し、最低出力等の供給力を自ら販売することが原則である。
しかしながら、週間断面で想定していた市場価格と実際のスポット市場価格にズレが生じた場合、最低出力分が不落となり、販売先が無い状態となる。販売計画が無い状態で、調整力を供出しようとして発電計画だけを作成すると、「計画不一致」となってしまう。
そこで対応策2では、その供給力の販売ができず、BG計画上、当該揚水機を系統並列できない場合には、TSOが調整力指令により系統並列させて、実需給における調整力運用を実施することとする(BGは発電計画も販売計画もゼロのまま)。
このような場合、ΔkW費用を支払わないことが通常であるが、今回の対応策2では、調整力提供者(揚水発電)は販売のための適切な努力をしたことや、水(≒燃料)を消費した上でΔkW供出を行っていることを踏まえ、調整力提供者(揚水発電)に対してΔkW費用を支払うこととする。
また対応策2において、BG発電計画自体はゼロであるため、このままではアセスメントIは不適合となり、アセスメントIIは適切な範囲での応動確認ができない。
本来は適切にアセスメントを行うことが望ましいものの、これを可能とするシステム対応には数年程度の時間を要するため、今回の対応策は緊急かつ期間限定であることを踏まえ、アセスメントI・IIいずれも実質的にアセスメントフリーとする。
揚水発電における対応策1・2の適用フロー
以上の対応策1・2は、調整力提供者(揚水発電)に対して新たな義務を課すものではなく、応札リスク軽減に資する新たな「選択肢」を与えるものである。調整力提供者(揚水発電)は自身の状況に応じて、TSOに連絡する際に対応策1・2を使い分けることになると考えられる。
今回の対応策1・2により、揚水機の調整力応札リスクは大きく軽減されたと考えられる。今後、揚水機の応札が増えない場合、誘導的措置や規制的措置についても検討を行う予定としている。
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