「持続可能な航空燃料(SAF)」の導入が義務化へ――新たな税制支援策も:第5回「持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進に向けた官民協議会」(4/4 ページ)
航空分野の脱炭素化における主要施策として期待されている「持続可能な航空燃料(SAF)」の活用。日本国内における導入目標などの見通しや、普及に向けた施策の状況などについてまとめた。
SAF高度化法の対象事業者・個社の目標割当量
高度化法では、その対象事業者を一定規模以上の大規模事業者としており、例えばバイオエタノールでは、前年度の揮発油供給量が60万kl以上となる石油精製事業者を対象としている。
SAFについても同様の考え方に基づき、前年度のジェット燃料製造・供給実績が10万kl以上である者を対象事業者とする。
また、対象となる個社への目標割当量の設定方法としては、製油所では4年に一度、大規模定期修繕を行うことが一般的であることを踏まえ、対象期間中の対象年度毎に前年度から過去4年間における対象事業者の国内ジェット燃料生産量平均値の総和に対して、個社が占める生産量平均値の割合に応じて目標量を割当てることとする。なお、目標達成にあたってのSAF管理方法は、現場における燃料管理方法の実態と整合させる観点から、マスバランス管理等の措置が認められる。
対象事業者の毎年度の目標達成については、対象事業者の生産量及び輸入量を合算するとともに、「柔軟性措置」を考慮して評価するものとする。柔軟性措置とは、過去2年間からの「バンキング(繰越し)」や、将来2年間(翌年度、翌々年度)からの「ボローイング(前借り)」、グループ会社等との融通(他社との共同達成)などが想定されており、これにより4年に一度の大規模定期修繕にも無理なく対応可能となる。
先述のとおり、SAFにおける高度化法目標はGHG削減量であることや、各種柔軟性措置が設けられていることは、実質的に排出量取引に近い運用が行われると考えられる。
SAF利用促進に向けた機運醸成
SAFの利用を促進するためには、航空会社だけでなく、旅客や貨物等の航空利用者についてもSAFの利用により、どれだけCO2排出量の削減に貢献したか把握できることが重要である。特に物流業界からは、国際的に使用されているGHGプロトコル「Scope3:事業活動に関する間接排出」の利用を求める声が高まっている。
このため国土交通省では、SAF利用評価タスクグループを設置し、CO2排出・削減量の計算方法を含むSAF利用の可視化に向けたガイドラインの作成や、二重計上等の不正防止、第三者認証システムに必要な要件等について検討を行う予定としている。
また事業者からは、Scope3削減に積極的に取り組む企業が社会から適正に評価される制度や、税制優遇措置等の経済的なインセンティブ付与などの環境整備が求められている。また今後、SAF利用の機運醸成に向けた取り組みの一つとして、「地方版SAF官民協議会」(仮称)を設立し、地産地消によるSAF導入を支援する予定としている。
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