一部で条件見直しも、第2回「長期脱炭素電源オークション」の募集容量と変更点:第94回「制度検討作業部会」(4/4 ページ)
脱炭素電源に対する長期目線での投資促進を目的に開設された「長期脱炭素電源オークション」。初回入札の結果を踏まえ、次回の第2回入札におけるインセンティブの在り方や募集量、上限価格の見直しについて検討が行われた。
第2回入札におけるLNG専焼火力の募集量
長期脱炭素電源オークションは本来、脱炭素電源のみを対象とする制度であるが、短期的な供給力確保の観点から、遅くとも2050年までに脱炭素化することを条件として、LNG専焼火力に限り、本制度で一定量を募集することとした。
当初募集量は2023〜2025年度の3年間で600万kWであったが、第1回入札での落札容量は575万kWに上り、すでに募集量の大半が埋まる結果となった。
先述のとおり、電力広域的運営推進機関が公表する最新の需要想定では、データセンターや半導体工場の新増設等により2023年度から2030年度にかけて、年間の最大需要電力が461万kW増加すると見込んでいる。
制度検討作業部会では、この大幅な需要増加に対応する追加供給力を確保するため、LNG専焼火力を「400万kW」追加募集することとした。なお、応札案件間の価格競争を促す観点から、2024年度・2025年度の募集量はそれぞれ200万kWとして、2023年度の残余分約24万kWは2024年度オークションに上乗せする(合計約224万kW)。
また、LNG専焼火力の募集は早期の供給力確保を目的とした暫定的措置であることから、供給力提供開始期限を第1回入札では6年としていたが、プラントメーカーのリソース逼迫(ひっぱく)を考慮し、第2回入札では8年を期限とする。
水素・アンモニアでは、燃料費のうち、応札電源の固定費と認められる部分については本制度の応札価格に算入することが可能であるが、LNGはスポットマーケットが整備されており、特定の発電設備の固定費としてひも付くことは想定されない。よって、第2回入札において、LNGの燃料費は応札価格に算入できないこととし、上限価格にも上流固定費を加算しないこととした。
今後のスケジュール
合成メタン・CCS付火力は本制度の対象であるが、現時点では応札案件が想定されないことや、上限価格の設定が困難であることを踏まえ、第1回入札では対象外としていた。その状況は現在も大きく変わらないため、第2回入札でも対象外とし、今後も検討を継続する。
長期AXの第2回入札は、本年10月頃から事前の各種登録を開始し、応札を2025年1月に受付する予定である。
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