太陽光の「オフサイトPPA」の実態調査が公開、収益性や今後の普及課題が明らかに:太陽光発電協会(JPEA)とEPIコンサルティングが共同調査(2/3 ページ)
「需要家」「発電事業者」「小売事業者」、オフサイトPPAにおける各プレーヤーの収益性が明らかになった。太陽光発電協会とEPIコンサルティングが、オフサイトPPAの実態調査を実施し、普及に向けた提言を取りまとめた。
オフサイトPPAの将来展望
これまで見てきたように、オフサイトPPAの導入は、補助金により後押しされているが、いずれはコスト低減によって自律的に普及していくものと期待される。表3の右側の積み上げグラフは、2030年におけるオフサイトPPAのコストについて推計したものとなる。
まず、太陽光発電コストが順調に下がり、政府が掲げる2030年の太陽光コスト目標7.0円/kWhを達成できると仮定する。また、発電事業者および小売事業者がオフサイトPPA事業のオペレーションを最適化することで両者のマージンが各々2.0円に減少すると見込んだ場合、オフサイトPPAの小売単価は20.5円となる。仮に補助金がない場合のオフサイトPPAの小売価格は、2023年1月案件において25.1円、2023年10月案件において27.8円/kWhで、補助金適用後はそれぞれ21.6円/kWh、24.1円/kWhであった。
一方、比較対象の電気料金は化石燃料価格により大きく変動する。東京電力エナジーパートナーの燃料調整費の算出方法に倣い2023年11月時点での高圧需要家の標準電気料金の算出ロジックを適用した場合、2010年以降、理論上もっとも電気料金が高くなるのは2022年で24.1円/kWh、もっとも電気料金が低くなるのは2016年で13.2円/kWhとなる。
加えて、今後高まると考えられる環境価値も考慮に入れる必要がある。IEAが想定するEU-ETS(欧州排出量取引制度)の価格をLNG火力で換算すると、2023年の環境価値は3円/kWh程度であるのに対し、2030年に向けて7円/kWhまで上昇する。比較対象の電気料金は表3の右側のレンジに示すとおり、仮に環境価値を0円/kWhとすると13.2〜24.1円/kWh、環境価値を3円/kWhとすると16.2〜27.1円/kWh、環境価値を7円/kWhとすると20.2〜31.1円/kWhとなる。
従って、政府の太陽光発電コスト目標が達成されれば、燃料価格が過度に低下しない限り、環境価値が3円/kWh以上であれば、オフサイトPPAは補助金なしで自律的に普及していく可能性が高い。
オフサイトPPAにおける需要家と事業者の関係
オフサイトPPAにおける需要家とPPA事業者の関係については、表4のとおり、2021年度には同一資本であるケース(垂直統合型および需要家系小売事業者型)が過半(63%)を占めていた。しかし、2022年度には垂直統合型が激減し、需要家とPPA事業者が独立してるケース(発電・小売一体型および完全独立型)が64%に増加した。
発電インバランスについては、表5のとおり、小売事業者が負担するケースが多い。発電事業者が負担するケースも2021年度には25%あったが、2022年度には0%となっている。代わりに、外部事業者にインバランス調整を委託し、インバランスが発生した場合には、その外部事業者が負担するケースが増えている。
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