太陽光の「オフサイトPPA」の実態調査が公開、収益性や今後の普及課題が明らかに:太陽光発電協会(JPEA)とEPIコンサルティングが共同調査(3/3 ページ)
「需要家」「発電事業者」「小売事業者」、オフサイトPPAにおける各プレーヤーの収益性が明らかになった。太陽光発電協会とEPIコンサルティングが、オフサイトPPAの実態調査を実施し、普及に向けた提言を取りまとめた。
需要家がオフサイトPPAに参画する理由
需要家がオフサイトPPAに参画する理由としては、表6のとおり、「再エネ発電設備をオンサイトに設置するスペースがない」が、アンケート回答の3分の1以上を占めた。また、電気料金の安定化を求める声も強く、追加性のある再エネ電源であれば多少の電気料金増加は許容する需要家も少なくないことが明らかになった。
100%再エネの調達にはさまざまな方法が考えられるが、今回調査対象となった需要家はリアルタイム性や追加性を重視しており、自己所有の再エネに次いで、PPAによる再エネ調達の優先度は高い(表7)。
オフサイトPPAの普及に向けた提言
こうした分析結果を踏まえ、JPEAとEPIは「オフサイトPPAは、発電事業者においては長期オフテイクによりバンカビリティーが向上し、小売事業者は長期間固定価格で再エネの確保が可能となり、需要家にとっては燃料価格高騰の影響を回避できることから、業界にとって有意なスキームである。現状は価格重視ではなく、追加性や生再エネ、電気料金固定化のメリットを感じる需要家がオフサイトPPAを採用しているが、今後太陽光発電のコストが低下していくに従い、自律的に普及していくと見られる」とする。
一方で、オフサイトPPAの普及に向けては、「複数の需要家をマッチングすることが困難であること」や「太陽光単独のオフサイトPPAではカバーできる電力需要には限りがあること」、「テナントの場合は小売事業者を自由に変更することができない」などの課題があることを指摘。これらの課題を解決するためには、「潜在需要家のマッチングを容易とするプラットフォームの構築」や、「すべての時間帯に再エネを供給できるよう併設型蓄電池や風力などを組み合わせたオフサイトPPAの導入」を進めるべきことを提言する(表8)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
国内の太陽光のPPAモデル市場、2040年度までに10倍以上に成長の見通し
富士経済がそれによると、昨今注目されている太陽光発電の「PPAモデル(第三者所有モデル)」の市場は、2022年度比で2040年度までに10倍以上に拡大する見通しだという。
「PV OUTLOOK 2050」を読んで考える――営農型太陽光発電の現在地と持つべき将来像
営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)について解説する本連載。今回は太陽光発電協会(JPEA)が公開した新ビジョン「PV OUTLOOK 2050(2024年版ver.1)」で、その中で営農型太陽光発電や、太陽光発電立地としての農地利用がどのように取り扱われているのかについて解説します。
いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
次世代型太陽電池の代名詞ともいえる「ペロブスカイト太陽電池」。産業育成と導入拡大に向けた官民協議会も動き出し、早期社会実装への道筋が描かれようとしている。いまさら聞けないペロブスカイトの基礎知識と、最新の政策動向を整理した。


