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2030年の導入目標は達成可能か 風力・中小水力・バイオマス発電の現状と見通し第65回「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」(2/4 ページ)

第7次エネルギー基本計画の策定に向けた議論が本格化。第65回「再エネ大量導入小委」では風力発電や中小水力、バイオマスのほか、金融機関、アグリゲーターの業界団体から、足元の状況や今後の見通しなどが報告された。

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洋上風力発電の導入状況

 洋上風力は、エネルギーミックス2030年導入目標5.7GWに対して、2024年3月末時点における導入量と再エネ海域利用法等に基づく公募済容量の合計は、5.1GWとなっている。ただし、公募済案件についても近年の急激なインフレや円安等により事業採算性が悪化しており、運転開始の確実性が危ぶまれている。


図2.洋上風力発電の導入状況 出典:JWPA

 このためJWPAでは、陸上/洋上いずれにおいても、事業収入面の安定性・予見可能性確保のため、FIT/FIP制度へのインフレ調整の導入を要望している。

 また、再エネ海域利用法の第2ラウンド公募において、大半の案件がゼロプレミアム水準(3円/kWh)で落札されたのは、事業者による需要家獲得努力(コーポレートPPAの締結)の結果であると考えられている。JWPAでは今後のオフテイカー確保のため、コーポレートPPAで長期契約を締結する需要家に対するインセンティブ付与を国に求めている。

 また洋上風力の案件形成加速化には、港湾・系統・船舶等のインフラ整備や、EEZ(排他的経済水域)における案件形成に向けた再エネ海域利用法の早期改正、漁業・海運業関係者等ステークホルダー調整の円滑化などの課題解決が求められる。

風力発電(陸上・洋上)の中長期導入目標

 JWPAでは、風力発電の中長期導入目標として、2040年に運転開始ベースで陸上風力35GW、洋上風力30〜45GWを導入するとともに、2050年には陸上40GW、洋上100GWを導入することを提案している。この2050年目標達成の場合、発電電力量は約4,500億kWhとなり、電源構成の3割程度に相当する。


図3.風力発電の中長期導入目標 出典:JWPA

 この目標達成のためには、2040年以降、毎年5〜5.5GW程度の新規導入が必要となり、20MW級の大型風車を毎年250基以上設置するためのサプライチェーンを形成することが不可欠となる。サプライチェーン強化のためには、国内での風車製造を含めた国内プレイヤーの参入・増加が重要である。

 このためJWPAでは、官民の連携・ビジョン共有が必須であるとして、国際競争力ある産業の創出と経済成長に向け、実効的な産業政策「風力発電産業政策ロードマップ」の策定を提言している。


図4.国の政策と連動した風力産業形成のステップ 出典:JWPA

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