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2030年の導入目標は達成可能か 風力・中小水力・バイオマス発電の現状と見通し第65回「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」(4/4 ページ)

第7次エネルギー基本計画の策定に向けた議論が本格化。第65回「再エネ大量導入小委」では風力発電や中小水力、バイオマスのほか、金融機関、アグリゲーターの業界団体から、足元の状況や今後の見通しなどが報告された。

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アグリゲーション(VPP)による再エネ導入拡大

 アグリゲーター(VPP事業者)は、多種多様な分散型エネルギーリソース(DER)を活用し、再エネの導入拡大に貢献すると期待されており、エネルギーリソースアグリゲーション事業協会(ERA)から、その取り組みが報告された。

 近年、晴天時の再エネ出力制御が増加しているが、蓄電池(再エネ併設型・系統用)やエコキュート等の需要側リソースを活用した「上げDR」の実施による、出力制御の低減が取り組まれている。


図8.DRリソース活用による再エネ出力制御の低減 出典:ERA

 また、DERを調整力ΔkWとして活用することや、将来的には疑似慣性を具備することにより、電力の安定供給や系統混雑の解消にも貢献すると想定される。現在、電力広域的運営推進機関の「グリッドコード検討会」では系統用蓄電池に求める要件が検討されているが、より幅広い需要側リソースについても早期の検討が求められる。

再エネ主力電源化に向けた銀行界の取り組み事例

 全国銀行協会は、再エネの主力電源化に向けて金融機関に期待される役割と事例について報告を行った。

 太陽光発電所の長期安定稼働と適切な管理を目的として、地域の低圧太陽光発電所を取得・集約する「百年ソーラー山梨」社の事例では、山梨中央銀行が同社に出資し株主として経営に関与しつつ、太陽光発電の案件情報を収集・提供するなど、メインバンクとして同社の活動を支援している。


図9.「百年ソーラー山梨」のビジネススキーム 出典:全国銀行協会

 また、2021年5月の銀行法改正により、銀行は「他業銀行業高度化等会社」や「地域活性化事業会社」を設立し、再エネ事業を含む幅広い業務を営むことが可能となった。これにより、常陽銀行は子会社「常陽グリーンエナジー」を設立し、既設太陽光発電所の取得・発電や、オンサイトPPAによる電力供給を行っている。また中国銀行は、子会社「ちゅうぎんエナジー」を設立し、太陽光発電事業のほか、自治体新電力等の立上げ支援を行っている。

 なお、低圧・分散型太陽光発電設備等を事業集約するためには、一定のデューデリジェンス(DD)を行う必要があるが、DDに必要となるコストは定額または最低取扱金額が決まっていることがあり、採算性の確保にはある程度まとまった案件数・規模が必要となる。

 事業者団体等による評価基準の設定や格付制度の信頼性向上などでDDの効率化が期待されるが、適切な損害保険の付与や法令順守面を含む関係者の信頼性など、与信判断には多様な要素を考慮する必要があり、画一的な対応は困難とも報告されている。これらの課題に対して、国や再エネ事業者等の関係者による対処に向けた検討が求められる。

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