日本の太陽光・風力発電の導入ポテンシャルは? 新たな試算結果が公表:第67回「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」(3/4 ページ)
第67回「再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」では、国内の太陽光・風力発電の導入ポテンシャルについて、複数の機関から試算結果が報告された。その概要を紹介する。
屋根および壁面における太陽光導入ポテンシャル
デロイトトーマツコンサルティングでは、建築物(住宅・非住宅)の屋根及び壁面における太陽光導入ポテンシャルの推計を行った。太陽光パネルを設置可能な面積を算出するための係数は、屋根では0.5(つまり、総屋根面積の50%に設置可能)、壁面では0.8(窓を除く全壁面)を用いている。
太陽光の導入可能量は、壁面(東西南北合計):1,038GWが屋根:568GWを上回るものの、年間発電電力量は屋根の595TWhが壁面(東西南北合計)を上回ると推計される。東西南北の壁面に当たる日射量を季節ごとに見たものが、図7である。
建築物(住宅・非住宅)は都市部に多いため、屋根・壁面太陽光の導入量も東京エリア、中部、関西で大きくなる。このため、屋根・壁面太陽光による年間発電電力量は各エリアの電力需要を賄うポテンシャルがあると推計される。
陸上風力の導入ポテンシャル
デロイトトーマツコンサルティングでは、レーダー等による制約条件を反映し、陸上風力の導入ポテンシャルを推計した。レーダー以外の条件としては、以下のエリアはポテンシャルの推計対象外としている。
- 高度80mの風速5.5m/s未満
- 標高1,200m以上
- 居住地からの距離500m未満
- 国立・国定公園の地域
気象レーダーから45kmの範囲は、陸上風力の設置に際して気象庁や国交省と調整が必要であり、航空監視レーダーから110kmの範囲は国交省航空局と協議が必要であるため、推計では一律にこれらの範囲を除外し、防衛レーダーは標高に応じた水平距離(最大100km程度)範囲を除外したポテンシャルが図9である。
ただし、現在でもレーダーからの距離は関係省庁との調整により異なることや、米国ではレーダー干渉を防ぐ技術開発が進められていることなどから、実際には、レーダー制約を反映したポテンシャルは、これよりも大きいと考えられる。
ちなみに日本風力発電協会では、2050年の陸上風力導入目標を40GWとしており、ポテンシャルは十分に大きいと考えられる。
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