中期の再エネ出力制御の見通しが更新、系統用蓄電池の早期接続を促す新施策も:第52回「系統WG」(2/4 ページ)
資源エネルギー庁の系統ワーキンググループにおいて、再エネの出力制御の見通しが更新。今後増加が見込まれる系統用蓄電池の導入について、早期の系統接続を可能にする新施策の方針も公表された。
系統混雑の中長期(2029年度)見通し
電源の出力制御には、需給バランスに起因するものと系統混雑に起因するものがあり、発電事業者が事業収益性を適切に評価するためには、いずれも長期的な見通しを得ることが重要である。また、系統混雑の情報を公表することにより、非混雑系統への電源立地インセンティブが高まり、経済合理的な送電設備形成に繋がると期待される。
このため広域機関では、基幹系統及びローカル系統における中長期(5年度先)の混雑見通しを公表することとしており、今回(2024年度)の試算では2029年度末の電源・需要および系統構成を前提としている。系統混雑の算出方法としては、基幹系統では、全国大のメリットオーダーシミュレーションを元にした年間8,760時間の系統混雑等の算出を行い、ローカル系統では、既設・新設の需要や発電出力の積み上げ方法により算出した。
系統制約(混雑)による自然変動電源の出力制御の中長期見通し(2029年度想定)の算出結果は、表2の通りである。
基幹系統には火力等の調整電源が多く連系しているため、大半のエリアでは自然変動電源の出力制御に至るような系統混雑は生じないが、再エネ連系が中心となるローカル系統では、ノンファーム型接続の再エネ電源の出力制御に至ることが確認された。なお、2024年度の需給バランス制約年間出力制御量と比較すると、北海道エリアを除き、系統制約による出力制御量は少なく、全国合計では1/20程度の規模である。
なお表2は、一定の前提条件に基づく試算結果であり、今後の電源稼働状況や系統の運用状況の変化次第では、系統混雑の見通しは変わることに留意が必要である。また、需給制約出力制御と系統制約出力制御は同時に発生することもあるため、これらを単純合計することは適切ではない。
混雑が想定される送変電設備の情報を公開
一般送配電事業者各社は、系統混雑が想定される送変電設備とマップ情報を、自社Webサイトにおいて公表を開始した。
発電事業者は、自社が連系予定の送変電設備の混雑見通しを確認することにより、2029年度における出力制御率の見通しを把握することが可能となる。例えば表3の送電線No.53は系統混雑により、太陽光発電は年間1.57%の出力制御率が想定される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


