中期の再エネ出力制御の見通しが更新、系統用蓄電池の早期接続を促す新施策も:第52回「系統WG」(4/4 ページ)
資源エネルギー庁の系統ワーキンググループにおいて、再エネの出力制御の見通しが更新。今後増加が見込まれる系統用蓄電池の導入について、早期の系統接続を可能にする新施策の方針も公表された。
系統用蓄電池の速やかな連系措置に向けた取り組み
系統用蓄電池の導入は、需給バランス制約・系統制約いずれの出力制御に対しても、有効な措置と考えられている。系統用蓄電池の導入計画は急増しており、接続検討受付は全国で約6,000万kW(2023年5月末比で約5倍)、接続契約受付は約450万kW (2023年5月末比で約4倍)に上る。
系統用蓄電池を系統接続する場合、逆潮流(発電)側についてはノンファーム型接続の適用により速やかに系統接続可能であるが、順潮流(充電)側については、原則系統容量の確保が必要となる。系統用蓄電池は、JEPXスポット価格が安い時間帯に充電し、スポット価格が高い(高需要な)時間帯に放電することが一般的と考えられるが、順潮流側が重潮流となるタイミングで充電を行うことも起こり得るため、系統増強に時間を要するといった課題があった。
この対策の一つが、特別高圧におけるN-1充電停止装置の導入である。N-1制御を当該系統用蓄電池に適用することで順潮流が運用容量以内となるケースでは、系統増強を回避して速やかに新規接続することとした。
さらに、系統用蓄電池を速やかに連系するための追加的な暫定措置として、「充電制限契約」を導入することとした。これは、特定の断面における充電を制限することへの同意等を前提に、当該系統を増強することなく系統接続を認める運用である。
今回の「充電制限契約」はあくまで暫定措置であり、順潮流側の接続ルール等については今後も検討を行い、将来的に接続ルール等が整備された際には、それに従うことが望ましいとされている。
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