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加速する再エネの大量導入、将来の電力系統の運用容量に与える影響と課題:第3回「将来の運用容量等の在り方に関する作業会」(3/4 ページ)
国内で導入が加速する再生可能エネルギー電源。電力広域機関の「将来の運用容量等の在り方に関する作業会」では2030年頃を想定し、再エネ大量導入が電力系統の運用に与える影響や今後の課題について整理を行った。
慣性力の低下に伴う周波数維持への影響
非同期(インバータ)電源である太陽光等の変動性再エネが大量に連系される場合、同期連系系統の慣性力が低下し、電源脱落時等の周波数変化率(RoCoF)が増加、つまり周波数低下スピードが速くなるといった問題が生じる。
現在、系統連系規定では、電力品質を確保するために事故時運転継続要件(FRT要件:Fault Ride Through)が定められており、RoCoFが2.0Hz/s以内では運転の継続が求められている。
RoCoFが2Hz/sを超える場合には、周波数低下時に再エネ等も一斉に解列(停止)するため、周波数はさらに大きく低下してしまう。周波数の低下により、さらに多くの発電機が連鎖的に解列され、最終的には系統崩壊(ブラックアウト)に至る可能性もある。なお、先述の同期化力の低下は、更なるRoCoFの増加を招くと試算されている。
広域機関の試算によると、2030年時点のRoCoFはいずれのエリアもFRT要件2Hz/sの範囲内であるものの、2050年時点では中西エリアにおいて2Hz/sを超えると試算されているため、長期的なテーマとして検討を行う予定としている。
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