2040年の火力発電のコスト検証を開始 CO2分離回収や水素混焼の普及も視野に:2024年第3回「発電コスト検証WG」(1/4 ページ)
次期エネルギー基本計画の策定に向けて、各種電源の将来のコストを検証を目的に設置された「発電コスト検証ワーキンググループ」。今回は直近の会合で行われた、2040年を想定した火力発電のコスト検証の状況をお伝えする。
国は次期エネルギー基本計画の策定に向け、「発電コスト検証ワーキンググループ」(WG)において、電源種ごとの発電コストを検討している。同WGでは、典型的な発電設備を仮想する「モデルプラント方式」を採用しており、今回の試算は2040年度を検証対象としている。
前回の第2回会合(※「2040年の太陽光・風力の発電費用はいくらになる? コスト検証がスタート」を参照)に続き、今回の第3回会合では、火力発電と原子力発電を対象として、コスト試算の考え方や前提条件等について検討が行われた。本稿では、火力発電のコスト検証の状況をお伝えする。
火力発電の発電コスト検証対象とモデルプラント
火力発電については、これまでのWGでは「石炭」「LNG」「石油」を対象としたコスト検証が行われてきた。2040年時点では、CO2排出削減対策を講じない新規の石炭火力発電所の建設は想定されないため、石炭火力については、アンモニア混焼やCCS(CO2分離回収)設備の併設といったケースのベース(参考値)として、コスト試算を行うこととした。今回のコスト検証におけるサンプルプラントは、表1の通りである。
石油火力は、震災後に緊急設置された小規模電源等を除いて新設されていないため、過去の検証と同様のプラントを参考値として横置きしている。
建設費等の資本費や人件費等の運転維持費は、デジタル技術の活用による効率化と物価上昇の両面を考慮し、現在(2023年)のコストから変化せず一定、と仮定する。
発電コスト低減のためには、発電効率のさらなる向上が重要であるが、現在は脱炭素化技術の開発に力点が置かれているため、前回2021年度検証時に2030年時点で達成すると想定した発電効率を、そのまま2040年時点でも適用する。
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