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実態とのかい離が懸念される「広域予備率」、低下時の供給力追加策を検討へ第102回「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」(2/4 ページ)

電力系統の安定性を測る指標となっている「広域予備率」だが、実態とのかい離が懸念されており、必要な供給力を提供する事業者や需要家の混乱を招いている。そこで電力広域機関ではその算定方法の見直しや、予備率の低下時における供給力追加策を検討中だ。

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広域予備率とインバランス料金の課題

 不足インバランスの発生時に小売BG・発電BGが支払うインバランス料金は、調整力の限界的なkWh価格を基本としつつ、需給逼迫時には追加供給力を引き出すインセンティブとして、「補正料金算定インデックス」により、インバランス料金を上昇させる仕組みとしている。なお2024年度から、同インデックスは「広域予備率」を参照しており、インバランス料金と広域予備率は密接に関連している。


図2.追加供給力対策によるインバランス料金の変化 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

 広域予備率が8%未満となる場合、容量市場のリクワイアメントによる「電気の供給指示」等の追加供給力対策が実施されるが、その追加供給力を反映した広域予備率は図2のように、8%以上に回復することとなる。

 この結果、インバランス料金は高価な「需給ひっ迫時補正インバランス料金単価」ではなく、安価な「調整力の限界的なkWh価格」が適用されるため、BGの同時同量順守のインセンティブを弱めてしまうという課題が生じている。

 また、広域予備率低下時には図3のように複数の追加供給力対策が順次実施されるが、現行制度では、「揚水発電の運用切り替え」や「余力活用電源の追加起動」以外の対策は、調整力kWh市場のメリットオーダーに反映されていない。このため、「調整力の限界的なkWh価格=インバランス単価」も安価なままとなり、BGの同時同量順守のインセンティブを弱めるという課題がここでも生じている。


図3.調整力kWh市場のメリットオーダー 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

 また、TSOが高単価で調整力(上げ調整)を調達したにも関わらず、BGから徴収するインバランス料金が安価である場合、TSOには損失(逆ザヤ)が生じることも課題となっている。

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