地熱・中小水力発電のコスト動向と低減策――バイオマスは50kW以上をFIPへ:第96〜98回「調達価格等算定委員会」(5/5 ページ)
地熱発電・中小水力発電・バイオマス発電の今後はどうなるのか? 「調達価格等算定委員会」の第96〜98回会合で行われた業界団体へのヒヤリングや、2026年度以降の調達価格などの検討状況についてまとめた。
FIP制度のみ認められるバイオマス発電事業の対象規模を拡大
バイオマス発電は安定的に発電可能であり、発電予測(発電計画の作成)も比較的容易であるため、自立化へのステップとしてFIP制度を通じ、早期に電力市場へ統合していくことが適切と考えられている。
これまでバイオマス発電では、FIP制度のみ認められる対象として段階的に小規模設備への拡大を進めてきており、2025年度は対象を1,000kW以上とした。
今回、資源エネルギー庁が50kW以上のバイオマス発電(ごみ処理焼却施設に併設されている設備を除く)の発電量を確認したところ、1年を通じた全ての月で1時間あたりの平均発電量が100kWh以上であることが確認された。これは、日本卸電力取引所(JEPX)の最小取引単位(50kWh/30分)以上であり、仮に相対取引よる売電先が見つからない場合でも、取引所で安定的に売電することが可能と判断された。
このため、2026年度以降の新規認定において、FIP制度のみ認められるバイオマス発電の対象を「50kW以上」へと変更することとした。ただし、ごみ処理焼却施設に併設されている発電設備については、事業者が燃料の受け入れをコントロールすることが困難であるため、従来通り「2,000kW以上」を維持することとした。
バイオマス発電では、FIT/FIP期間終了後に、化石燃料火力発電への移行が懸念されているため、資源エネルギー庁ではこれを抑止する制度設計について、今後検討していく予定としている。
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