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進まない地熱発電開発の打開策に エネ庁が「地熱開発加速化パッケージ」を公開第43回「資源・燃料分科会」(1/4 ページ)

安定的な発電が可能であるなど、多くのメリットがある地熱発電。しかし開発コストの高さなど、さまざまな障壁によりその普及は進んでいない状況にある。資源エネルギー庁はこうした地熱発電の開発状況の改善に向けて、「地熱開発加速化パッケージ」を取りまとめた。

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 地熱発電は、天候に左右されず、安定的に発電可能な再エネ電源である。第6次エネルギー基本計画において、地熱発電の2030年度導入目標は150万kW・110億kWh(電源構成比1%)としているが、2023年度実績では65万kW・34億kWh(0.3%)に留まり、さらなる導入推進が求められている。

 このため資源エネルギー庁は、自然環境や温泉事業者への配慮を前提に、従来型地熱の課題を克服して開発を促進するとともに、地熱資源のポテンシャルを大幅に拡大する可能性がある次世代型地熱技術の開発を進めるため、「地熱開発加速化パッケージ」を取りまとめた。


図1.地熱開発加速化パッケージの全体像 出典:資源・燃料分科会

従来型地熱に対する「地熱フロンティアプロジェクト」

 従来型地熱の開発が進まない背景として、初期開発リスクが大きいことや温泉法(環境省・自治体)、自然公園法(環境省)、森林法(林野庁)等の規制に基づく許認可取得の難しさ、地域理解の醸成・温泉事業者との合意形成などの、開発リードタイムの長さなどがある。


図2.従来型地熱の開発プロセスと地熱フロンティアプロジェクト 出典:資源・燃料分科会

 このため、国は「地熱フロンティアプロジェクト」を新たに組成し、地熱ポテンシャルが有望な自然公園等のうち未開発のエリアを国が全面的に支援することとした。同プロジェクトでは、JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)の先導的資源量調査の実施・拡大を通じて国が事業の初期段階の開発リスクを取ることや、経産省主導で関係省庁・自治体との調整を行い、許認可や地域関係者との合意形成のプロセスの円滑化・迅速化を図ることとする。また、地熱に関する知見は全国的に不足していることから、これらの実績を他地域の案件へ横展開し、全国の地熱開発加速化に繋げることとする。

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