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2040年に温室効果ガスを73%削減――日本の新たな削減目標案の策定背景(3/4 ページ)
政府が新たな「地球温暖化対策計画」案及び「政府実行計画」の改定案を公表。国連に提出する日本の「NDC(国が決定する貢献)」における温室効果ガスの削減目標として、2035年に2013年度比60%、2040年に同73%とする新たな目標値を設定した。
経済成長率との整合性は?
先述の通り、本シナリオ分析は1.5℃シナリオと整合的であることを前提しているため、「気候変動による被害額」や「気候変動防止による便益」については、ある意味、考慮済みであると言える。
また、「炭素の社会的費用(Social Cost of Carbon; SCC)」については、米国のバイデン政権は2023年にSCCを$190/tCO2と公表しており、表3の限界削減費用($294〜850/tCO2)はいずれもこれを上回っている。
特段の排出削減を考慮しないベースラインと比べたとき、日本の2040年削減率を▲60%、▲73%、▲80%とした場合の、エネルギーシステムコスト増加額(単年)の分析結果は表5の通りである。このうち成長実現シナリオ▲73%の場合、電力平均費用(発電端)は、2040年に$152/MWh、2050年に$148/MWhと試算されている。
このようにエネルギーコストの増加が大きいため、一見、経済成長に不利に見えるが、CO2削減対策技術の国際的な優位性による海外市場獲得効果(+5%程度)が加わることにより、内閣府の成長実現ケースの経済成長率(2040年まで1.0%/年)よりも、経済成長率が高まる分析結果となった。
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