FIP太陽光のバランシングコストを1円増額 2025年度のFIT/FIP制度の運用方針:第101回「調達価格等算定委員会」(3/5 ページ)
第101回「調達価格等算定委員会」で今後のFIT/FIP制度の運用に関して検討が行われた。FIP制度を利用する太陽光発電については、バランシングコストを1.00円/kWhの増額とする方針だ。この他、FIP制度のみを対象とする事業規模の基準などについても今後の見通しが公表された。
太陽光発電は“FIP制度のみ”を認める対象を拡大
太陽光発電について、FIP制度のみが認められる対象は、当初の1,000kWから段階的に拡大されてきたが、より電力市場への統合を進めるためには、FIP制度のみを認める対象を今後も拡大していくことが重要である。
調達価格等算定委員会の第101回会合では、FIP制度のみ認める対象を、「250kW以上」のまま据え置くか、「50kW以上」に拡大するかの検討を行ったところ、50〜250kWの区分において、FIP新規認定・移行認定は出力・件数ともに拡大していることが確認された。また、資源エネルギー庁がアグリゲーターにヒアリングを実施したところ、50〜250kWの電源規模において、既に契約実績が存在すると回答した事業者が複数存在した。
これらを踏まえ、調達価格等算定委員会では太陽光発電のFIP制度のみを認める対象を拡大することとして、事業の予見性に配慮し、2025年度は「250kW以上」を維持するものの、2026年度は「50kW以上」へ変更することとした。
「初期投資支援スキーム」の適用開始時期
地域社会との共生や適地不足などへの対策として、「屋根設置太陽光発電」を重点的に拡大することとしており、これを加速するため「初期投資支援スキーム」の速やかな導入に向けて検討が行われている。
具体的には、住宅屋根設置(図3左)についてはFIT調達期間を4年に短縮して現行の15円/kWhから初期投資支援価格として24円/kWh程度へと増額し、事業用太陽光屋根設置(図3右)については、初期5年間を19円/kWh程度へと増額する案である(残り15年間は現時点未定)。
ただし、住宅用・事業用太陽光のいずれも、すでに2025年度のFIT調達価格/FIP基準価格が設定済みであるため、仮に新スキームを2026年度から開始すると決めた場合、その開始まで個人・事業者がFIT/FIP認定の時期を先送り(買い控え)し、屋根設置太陽光の導入が停滞することが懸念されていた。
このため資源エネルギー庁では、再エネ特措法で定められた特例に基づき、年間半期ごとの調達価格・基準価格を定めることとして、2025年4月〜9月はすでに設定した2025年度価格を維持しつつ、2025年10月から「初期投資支援スキーム」を開始することとした。これにより、FIT/FIP認定の先送りは最小限に抑えられると考えられる。
なお、本スキームの適用対象としてFIT/FIP認定を受けた後、運転開始期間を超過した場合は、現行制度と同様に調達期間/交付期間から超過期間分を短縮するが、その際には、初期投資支援期間(高い価格での支援を受ける期間)から先に調達期間/交付期間を短縮することとなる。
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