日本のエネルギー政策の方向性は? 第7次エネルギー基本計画のポイント (4/4 ページ)
2月18日に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」。2040年に向けた中長期のエネルギー政策の方向性や見通しをまとめた同計画について、本稿ではそのポイントを解説する。
シナリオ別の電力CO2排出係数の推移
ここで、シナリオ別の電力CO2排出係数を見たものが表4・図4である。現在の全電源排出係数は0.422kg-CO2/kWhであるので、①〜④のいずれのメインシナリオにおいても排出係数は1/10以下に低下すると想定されている。③CCS活用シナリオでは、どのような排出源からCO2を回収する想定であるかは公開されていないが、火力発電所からのCO2排出は全量を回収する想定であると考えられる。
このように、2040年度エネルギー需給見通しは、前提やシナリオにより変わり得るものであり、一定の技術進展が実現する場合に到達可能なものであることを踏まえた上で、日本のエネルギー政策として目指すべき方向性を示すものである。このため、2040年度エネルギー需給見通しにおいて示した水準(2040年度電源構成など)は、導入の上限や下限を示すものではなく、技術革新等の進展により、今回示した水準を超えて導入が進むことも考えられる。
また、将来の技術革新の動向やGXやDXの進展状況など、日本のエネルギーをめぐる状況が著しく変化した場合には、必要に応じて見直しを行うこととしている。
菅首相による2050年カーボンニュートラル宣言の直後に策定された第6次エネ基は、本文が128ページ、「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」が86ページあったのに対して、第7次エネ基は本文が83ページ、「2040年度におけるエネルギー需給の見通し」は36ページと全体的に小ぶりとなっている。バックキャストで作成した2040年エネルギーミックスの実現に向けて、具体的な政策措置の積み上げが急がれる。
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