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系統用蓄電池の早期連系に向け追加対策 2025年4月に開始へ第2回「次世代電力系統WG」(2/4 ページ)

昨今、接続の要望が急増している系統用蓄電池。資源エネルギー庁ではこうした背景を受け、蓄電池の早期連系に向けた追加的な暫定対策を導入する。

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早期連系追加対策の適用上限

 今回検討している系統用蓄電池の早期連系対策とは、系統の増強工事は行わず、あくまで運用面の工夫により系統接続を認めるものである。このため、早期接続を希望する蓄電池事業者は、順潮流側が重潮流となる特定の時間帯(例えば点灯帯)では充電を行わない、という条件に同意することが求められる。万一、蓄電池事業者が誤って制限時間帯に充電を行った場合、系統設備容量を超過する潮流が流れ、系統設備の損壊やこれに伴う停電等をまねく恐れがある。

 よって本来であれば、一般送配電事業者(一送)から蓄電池の充電制限スケジュールをオンラインで制御する方法が望ましいが、このようなシステムを構築するには時間を要するため、当面は蓄電池事業者自身に充電制御を委ねる方式とする。

 蓄電池事業者には、フールプルーフ(誤操作をしても事故につながらない、または誤操作を防ぐ設計手法)を前提としたシステム的セーフティを具備することを求めるが、一送から見ればあくまでオフラインであるため、充電制御の確実性という点では劣後する。また、実際の潮流もさまざまな要因により変動するため、蓄電池の充電制限の条件は安全サイドに設定せざるを得ない。


図3.早期連系追加対策の適用上限のイメージ 出典:次世代電力系統WG

 よって、もし連系先の送変電設備が一時的に過負荷となったとしても、系統設備の損壊を回避できる程度の値(過負荷容量等)を早期連系の適用上限として設定することとした。適用上限を設けることにより、一部の系統に蓄電池が集中することを避けることができると期待される。具体的な上限値は、一送各社が系統ごとに設定する。

 なお、N-1充電停止装置の既存対策が導入可能な系統においては、既存対策と早期連系追加対策の併用が有効となるケースも想定されるため、一つの蓄電池の接続申込みにおいて既存対策と早期連系追加対策を併用できることとする。

同一系統における複数の蓄電池に対する取り扱い

 同一系統に複数の早期連系追加対策適用蓄電池が連系することも考えられるが、この場合、先着の蓄電池(図4では蓄電池A)の予見性確保の観点から、先着蓄電池の充電制限の条件は原則変更しないこととする。後着蓄電池(図4では蓄電池B)の充電制限条件は、先着の蓄電池Aがあることを前提として設定する。


図4.複数の早期連系対策適用蓄電池が連系する場合の充電制限条件 出典:次世代電力系統WG

 電力システム改革において、多くの場面で「先着優先」という考え方が廃止されてきたが、この蓄電池早期連系はあくまで暫定対策であることや、蓄電池は再エネ電源以上に立地の自由度が高いため、混雑系統への接続を回避することを促すためと考えられる。

 ただし、一般需要や他電源の大幅な増減等、系統状況に大きな変更が生じた場合は、一般需要の連系に過度な制約を課さないため、早期連系追加対策が適用された既設蓄電池の充電制限の条件を見直すことも可能とする。

 なお蓄電池事業者は早期連系追加対策ではなく、原則どおり、系統増強を選択することも可能である。早期連系追加対策が適用された系統に対し、後着蓄電池が系統増強により連系する場合であっても、先着蓄電池の充電制限の条件は悪化させないこととする。


図5.後着事業者が系統増強を希望する場合のイメージ 出典:次世代電力系統WG

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