太陽光パネルのリサイクル義務化 費用負担と制度設計の方向性がまとまる:第9回「太陽光発電設備リサイクル制度小委員会」(1/4 ページ)
太陽光パネルの義務的な廃棄・リサイクル制度の創設に向け、国は2024年12月に「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について(案)」を取りまとめ、パブリックコメントを実施した。本稿ではその概要を解説する。
太陽光発電(住宅/非住宅)の導入量は、FIT開始前は約560万kW、FIT開始後では6,823万kWに上る(2024年3月末時点)。使用済み太陽光パネルの排出量は2040年代前半にピークを迎え、50万t/年に上ると推計されている。
使用済み太陽光パネルは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃掃法)に基づき、排出者(太陽光発電事業者、解体事業者等)が適正に処理することが求められるが、現時点、そのリサイクルは義務付けられていない。
また、再エネ特措法(FIT/FIP)に基づく太陽光発電設備については廃棄等費用積立制度が措置されているが、近年増加しつつある非FIT/非FIP太陽光発電設備では、このような制度は未整備である。
このため国は、非FIT/非FIPも含めたすべての太陽光発電設備を対象とした、義務的な廃棄・リサイクル制度の創設に向けて、2024年12月に「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について(案)」を取りまとめ、パブリックコメントを実施した。
太陽光パネルリサイクル費用の流れの全体像
太陽光発電設備の解体・撤去等と、太陽光パネルの「リサイクル(再資源化)」は連続的かつ一体的に行われるものであるが、その費用の負担者や費用の流れは大きく異なる。
まずリサイクルについては、2024年12月の原案では、太陽光パネル製造業者等が第三者機関に納付したリサイクル費用(図2の①)は、太陽光パネル所有者に交付する案としていたが、パブリックコメントや法制的な検討結果を踏まえ、再資源化事業者に交付するかたち(図2の④)に変更された。
また、太陽光パネルの所有者は、太陽光パネルの取り外し等費用をあらかじめ第三者機関に預託すること(図2の②)を原則として、パネルの使用終了時にそれを取り戻すこと(図2の③)が可能となる。なお再エネ特措法では、10kW以上のFIT/FIP太陽光を対象とした廃棄等費用積立制度により、既に外部積立てが原則となっていることから、新制度は非FIT/非FIP太陽光パネルの所有者を対象としている。
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