長期脱炭素電源オークションの応札促進へ 第3回入札から大幅な制度変更:第102回「制度検討作業部会」(3/5 ページ)
脱炭素電源への投資促進に向けて始まった「長期脱炭素電源オークション」。その応札促進に向けて、資源エネルギー庁では第3回オークションから上限価格の引上げなどの制度変更を行う方針だ。
入札上限価格「10万円/kW/年」を引き上げへ
長期脱炭素電源オークションでは、原則、電源種ごとに入札上限価格を設定することとしているが、国民負担抑制の観点から上限価格が極端に高くならぬよう、規律として「10万円/kW/年」の閾値(しきいち)を設けている。
実際に、第2回入札では表5のように多くの電源種において上限価格は閾値10万円/kW/年に抑制されており、閾値補正前の金額(表5で赤色の金額)を下回ったことが、応札数が少ない理由の一つと考えられる。
このため制度検討作業部会では、多様な脱炭素電源への新規投資を確保すべく、各電源種の補正前の金額を一定程度カバーできる水準として、上限価格の閾値を10万円/kW/年から原則20万円/kW/年に引き上げることとした。
なお、長期脱炭素電源オークションはあくまで入札なので、電源間の競争が働けば、約定価格は上限価格に張り付くことなく、適正な水準に落ち着くと予想される。
水素・アンモニアの上限価格は大幅に緩和
ただし、黎明期のエネルギーである水素・アンモニアは、特段の配慮を行わなければ導入が困難な面があるため、第3回入札の上限価格は20万円/kW/年ではなく、表6の金額(グリーン水素・アンモニアをベース)とする。
また第3回入札では、燃料費等の可変費も、固定的な負担部分に限定せず、応札価格に算入可能とする。ただし、水素・アンモニアの可変費はLNG・石炭の燃料代との価格差部分に限定し、発電所の設備利用率「40%」分までを応札価格に算入可能とする。この設備利用率40%とは、現在のLNG火力の設備利用率4割強を参考として、本制度による支援が過大・過少とならない水準としたものである。
このように水素・アンモニアは上限価格を大幅に緩和したことにより、第3回入札では募集上限を設けることとして、具体的な容量は今後の検討としている。
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