鉄道分野のGXに必要な施策とは? 官民研究会で2040年目標や戦略を策定へ:「鉄道分野のGXに関する官民研究会」(3/4 ページ)
鉄道分野のグリーントランスフォーメーション(GX)に向けて、国土交通省が新たに「鉄道分野のGXに関する官民研究会」を設立。2040年をめどにした具体的な目標や戦略の検討を開始した。
ディーゼル車両の脱炭素化
現在、ディーゼル車両は約2,700両と鉄道車両全体の約5%であり、軽油の年間使用量は約185千kL、CO2排出量は約48万tである。
ディーゼル車両の脱炭素化に向けては、水素燃料電池車両や蓄電池車両等への転換や、燃料を軽油からバイオディーゼルへ転換することが検討されている。
また、JR東日本は、水素を燃料とした燃料電池車両「HYBARI」を南武線等で走行試験中であり、2030年度までの実用化導入を目指している。今後の水素燃料電池車両の導入に向けて、国土交通省は「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」を改正し、「圧縮水素ガスを燃料とする車両の燃料電池等の技術上の基準を定める告示」が制定された(2025年4月施行)。
水素燃料電池車両や蓄電池車両が、新規車両の導入が必要となる対策であるのに対して、既存のディーゼル車両に導入可能な対策として、バイオディーゼル燃料への転換がある。鉄道総合技術研究所及びJR7社は、2022年度からバイオディーゼル燃料による走行試験等を行ってきており、2025年度内の導入を目指している。
なおバイオディーゼルには、従来から使用されてきた「FAME(脂肪酸メチルエステル)」のほか、次世代バイオディーゼルと呼ばれる「HVO」がある。(詳しくは、別記事『次世代バイオディーゼル燃料の制度動向 燃料規格や税制の見直しの方向性』を参照)
軽油とFAMEやHVOを混和する場合、事前に都道府県の製造承認を得ることが原則である。また、鉄道事業者は元々、軽油引取税の免税対象であるが、軽油と混合するFAMEやHVOは軽油引取税の課税対象となる。これが、令和7年度税制改正大綱による特例措置として、事前承認が免除されたほか、混合燃料におけるHVO部分への軽油引取税が免税とされた。
非電化区間の脱炭素化は世界的な課題であることから、グローバル市場を見据え、官民一体でスピード感をもって取り組んでいく予定としている。
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