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目標は「2050年に100%グリーン化」 LPガスの脱炭素ロードマップ第8回「グリーンLPガス推進官民検討会」(3/3 ページ)

ガス分野の脱炭素化に向けて、第7次エネルギー基本計画においても次世代燃料の一つとして普及拡大を目指すことが記されている「グリーンLPガス」。その普及策などを検討する「グリーンLPガス推進官民検討会」の第8回会合では、今後の具体的な取り組みの内容が検討された。

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rDME混合LPガスを2030年から本格導入へ

 DME(ジメチルエーテル)とは、LPガスと物性が似た可燃性ガスであり、様々な原料から製造でき、LPガスの代替以外でも幅広い用途で利用可能なガスである。液体燃料(化石燃料)の多様化と安定供給を確保するため、2000年代初期から様々な調査研究が行われてきた。ただし、DMEはゴム材を膨潤させるなどの特性があるため、既存機器での使用には混合率を低くする必要がある。

 LPガスの脱炭素化が求められる現在、バイオ由来のDMEである「rDME」(Renewable DME)が再び脚光を浴びており、第7次エネルギー基本計画でも、「rDMEを混入した低炭素LPガスの導入に向けた取り組み等を後押しする」ことが記されている。

 海外では、世界リキッドガス協会(WLGA)が主導する形でrDMEの混合率を12%(上限値)とする新たなLPガスの品質基準や規格作りが進められており、日本でもJIS改正を始めとする同様の対応を早期に図る必要がある。

 このため官民検討会は、新たに「rDME混合LPガスの実用化検討WG」を設置し、燃料電池等の燃焼機器等での実証試験を行い、JISや液化石油ガス法の改正を進めることとした。なお官民検討会では、2030年のrDME混合LPガスの本格導入を目指している。


図7.rDME混合LPガスの実用化に向けたロードマップ 出典:グリーンLPガス推進官民検討会

グリーンLPガスの炭素集約度の基準値

 2024年5月に成立した「水素社会推進法」では、水素やアンモニア、合成燃料といった「低炭素水素等」に対して支援措置を講じることとしているが、現時点、グリーンLPガスはこの対象となっていない。これは、低炭素水素等の要件の一つに、「その製造に伴って排出されるCO2の量(ライフサイクル評価)が一定の値以下」であることが求められるが、グリーンLPガスでは「炭素集約度」(carbon intensity:CI)の基準値がまだ設定されていないためである。


表2.「低炭素水素等」の炭素集約度の基準値 出典:脱炭素燃料小委員会

 このため官民検討会では、2026年10月頃を目途に、グリーンLPガス(rDMEを含む)の炭素集約度の算定標準案を策定し、その後、標準案に基づいた算定実証を実施する予定としている。

 グリーンLPガスやrDMEは、早ければ2027年度からサンプル出荷が始まると予想されており、ここでの炭素集約度の算定適用が期待されている。

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