建築物のライフサイクルカーボン削減へ 2028年度のLCA制度開始に向けたロードマップ:「建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議」(2/5 ページ)
建築物の建設から使用にいたる全工程の脱炭素化に向けて、政府は「建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議」を設置。2028年度の開始を予定している建築物のライフサイクルアセスメント(LCA)制度に向け、各種施策のロードマップを公開した。
建築物LCAに関する国際的な動向
欧州委員会は、2024年4月にEU建築物エネルギー指令(EPBD)を改正し、加盟国に対して、2028年から一定規模以上の新築建築物において「ライフサイクルGWP」の算定及び開示を義務付けることを決定した。ライフサイクルGWP(kgCO2eq/m2)とは、参照期間50年間における建築物ライフサイクル段階ごとのGHG排出量を平均し指標化したものである。現時点、欧州9か国で、エンボディドカーボンやライフサイクルカーボンを算定することを義務付ける制度を導入済みである。
産官学による国内のこれまでの取り組み
建築物ライフサイクルカーボンの削減に向けた建築物LCAは、国内でも積極的な取り組みが行われてきており、日本建築学会は「建物のLCA指針」の初版を1999年に発行し、その後、数次の改定を行っている。またCASBEE(建築環境総合性能評価システム)では、2008年から簡易的なライフサイクルカーボン評価ツールを導入している。
産官学の連携による「ゼロカーボンビル(LCCO2ネットゼロ)推進会議」では、日本の建築事情を考慮した建築物ホールライフカーボン算定ツール「J-CAT」を開発し、2024年10月に公開している。
これまで、Scope3のうちカテゴリ1(購入した製品・サービス)については、二次データを用いた推計が一般的であったが、プレハブ建築協会では、サプライヤーエンゲージメントも取り入れながら、一次データを用いたScope3算定の精緻化と削減に取り組んでいる。
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