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AI普及に伴うデータセンターの急増に対応 系統運用容量の増加策:第3回「ワット・ビット連携官民懇談会WG」(4/4 ページ)
AIの普及を背景に国内でも今後さらなる増加が見込まれるデータセンター。電力と通信の効率的な連携を目指す「ワット・ビット連携官民懇談会」では、データセンターの増加に伴うインフラ整備の対応策が議論されている。
長期的な対策――ワット・ビット連携を踏まえた設備形成
ワット・ビット連携官民懇談会では、DC整備の中長期的な対策として、特定のエリアに電力・通信インフラを計画的に整備し、DCを誘導することにより、全体最適化を図ることを掲げている。
これを踏まえ、懇談会WGでは、電力や通信インフラの効率的な整備に加え、DC運用の観点からも、設備機器の更新等を効率良く行うため、また、現状の技術で計算資源の効率的な運用を行うためには、一カ所に一定規模でDCが集積することが望ましい、と述べている。ただし、一つのDCが数百MW規模である現在、DCの集積とはどのような規模のことを意味するのかはWG資料では説明されていない。
WGでは、新たなDC集積地の選定条件として、以下の3点を挙げており、地域との共生の観点から、集積地を形成するためには自治体の関与が求められる。
- 電力インフラの整備状況(現状や将来の整備ポテンシャル)を出発点として、候補エリアについて検討を行うこと
- 通信ネットワークの地中化・冗長性確保の可能性、地盤の安定性(南海トラフ・首都直下地震リスク)、土地の広さ、交通の便といったDCの運用に求められる要件を重ね合わせること
- 集積地の選定に当たっては、レジリエンスの観点から、立地を既存の集積拠点(千葉県印西市等)から分散させること
新たに選定するDC集積地では、電力インフラや国内通信インフラの先行的整備を進めるほか、国際海底ケーブルやIX(インターネットエクスチェンジ)の整備も進める予定としている。
現時点、ワット・ビット連携のロードマップとしては図9の案が示されており、2030年代前半には、DC集積地への立地が進むと考えられる。
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